エディット・ハンナム

エディット・マーガレット・ブッチャー・ハンナム（Edith Margaret Boucher Hannam、1878年11月28日 - 1951年1月16日）は、イングランドのブリストル出身の女子テニス選手です。彼女は、1912年のストックホルムオリンピックで実施されたテニスの「室内競技」において、女子シングルスと混合ダブルスの両方で金メダルを獲得するという偉業を成し遂げました。

ストックホルム五輪でのテニス競技は、通常の屋外競技に加えて「室内競技」の2種類が実施されました。この大会でハンナムが金メダルを手にしたのは「室内競技」の方です。女子シングルス決勝では、デンマークのソフィー・カステンショルドを6-4, 6-3で破り、見事優勝を飾りました。混合ダブルスでは、チャールズ・ディクソンとのペアで出場し、同じイギリスのハーバート・ローパー・バレット＆ヘレン・エッチソン組に対し、4-6, 6-3, 6-2の逆転勝利を収めました。

特筆すべきは、この大会におけるイギリス代表選手の戦略です。屋外競技には出場せず、ハンナムを含めたイギリス代表選手たちは、室内競技に絞って出場しました。この結果、屋外競技は女子シングルス12名、混合ダブルス13組が競ったのに対し、室内競技は女子シングルス10名、混合ダブルス10組という規模の大会となりました。なお、室内競技は過去の1908年ロンドン五輪でも実施されていましたが、この2大会のみで廃止となりました。

ウィンブルドン選手権では、ハンナムはタイトルを獲得することはできませんでした。しかし、1911年にはシングルスで「チャレンジ・ラウンド」決勝に進出しています。この試合でハンナムはドラ・ブースビーに2-6, 5-7で敗れ、前年度優勝者ドロテア・ダグラス・チェンバースとの「オールカマーズ・ファイナル」に進むことができませんでした。また、1914年にはエセル・トムソン・ラーコムと組んで女子ダブルス決勝に進出しましたが、エリザベス・ライアン＆アグネス・モートン組に1-6, 3-6で敗れ、準優勝に終わりました。

ハンナムは結婚後、夫の仕事の関係で一時カナダに住んでいましたが、その後イギリスに帰国し、オリンピックの室内競技での金メダルやウィンブルドン選手権での活躍を重ねました。彼女の夫は、1916年に第一次世界大戦で戦死するという悲劇に見舞われました。その後、ハンナムは1951年1月16日にロンドンのケンジントンで72歳でその生涯を閉じました。

彼女の功績は、テニス界における初期の女性スター選手の一人として、今もなお語り継がれています。

[参考文献]
Lance Tingay, “100 Years of Wimbledon” （ウィンブルドンの100年史） Guinness Superlatives Ltd., London (1977) ISBN 0-900424-71-0　［ウィンブルドン選手権の成績］

[外部リンク]
エディット・ハンナム - Olympedia（英語）
イギリスのオリンピック・メダリスト評伝　（英語。「1912」をクリックすると、ハンナムの紹介がある）
アテネオリンピックテニス・メディアガイド　（英語、全146ページのPDFファイル）
366日の暦・1月16日　（フランス語。ハンナムの死去を掲載）
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