エディ・ダニエルズ

エディ・ダニエルズ：ジャズとクラシックを架ける、類まれな音楽家

エディ・ダニエルズ（Eddie Daniels, 1941年10月19日 - ）は、アメリカ合衆国ニューヨーク出身のリード楽器奏者です。彼は主にジャズ・クラリネット奏者としてその名を知られていますが、その音楽性はジャズという枠に留まらず、クラシック音楽の分野でも高く評価されています。

アルト・サックス、テナー・サックス、そしてフルートにおいても卓越した演奏技術を持ち、まさに「多才」という言葉がふさわしい音楽家です。

生い立ちと音楽との出会い

ルーマニアからの移民である母親のもと、ニューヨークのユダヤ人家庭に生まれたダニエルズは、ブルックリンのブライトンビーチ近くで幼少期を過ごしました。10代の頃、フランク・シナトラのような歌手の伴奏をする演奏家たちの音楽に感銘を受け、ジャズに興味を持つようになったといいます。最初に手にした楽器はアルト・サックスで、15歳という若さでニューポート・ジャズ・フェスティバルの青少年コンテスト部門に出演を果たしました。その後、大学に入学する頃にはクラリネットも演奏するようになっていました。

多彩な音楽活動

サド・ジョーンズとの共演を始め、様々なバンドや小編成グループ、オーケストラに参加し、演奏旅行やレコーディングを重ねました。また、テレビにも数多く出演するなど、幅広い活動を展開しました。1980年代以降、40歳を過ぎてからは主にクラリネットに傾倒し、1989年にはロジャー・ケラウェイ編曲による「Memos from Paradise」の演奏でグラミー賞を受賞しました。

2000年代には、ゴードン・グッドウィン率いるビッグ・ファット・バンドのアルバムにゲスト参加し、その才能を披露しました。特に、モーツァルトの「交響曲第40番」をグッドウィンが編曲した楽曲でのソロ演奏は、彼のクラシック音楽への深い理解と高い演奏技術を示すものでした。

2009年には、スイス人作曲家でサクソフォーン奏者のダニエル・シュナイダーによって、ダニエルズに献呈された『クラリネットとオーケストラのための協奏曲 MATRIX 21』が作曲されました。この作品はローザンヌ室内管弦楽団の委嘱によるもので、2010年1月に世界初演されました。アメリカでは2010年7月18日に初演されています。

受賞歴と共演者

これまでに5度、グラミー賞にノミネートされており、その実力は広く認められています。サド・ジョーンズの他、ゲイリー・バートン、マルグリュー・ミラー、ローランド・ハナ、リチャード・デイヴィス、読売日本交響楽団など、数多くの著名な音楽家と共演しています。日本人ミュージシャンでは日野皓正、菊地雅章らとのレコーディングがあり、1991年にはブルーノート東京に来演しています。

エディ・ダニエルズは、ジャズとクラシックという異なるジャンルを融合させ、独自の音楽世界を追求し続ける、現代を代表する音楽家の一人と言えるでしょう。

主なディスコグラフィー

First Prize! (1966年)
This Is New (1968年) ※with 日野皓正
A Flower for All Seasons (1973年) ※with バッキー・ピザレリ
Blue Bossa (1973年)
Brief Encounter (1977年)
Morning Thunder (1978年)
Streetwind (1978年)
Breakthrough (1986年) ※ロンドン交響楽団との共演
To Bird with Love (1987年)
Memos from Paradise (1988年)
Blackwood (1989年)
Nepenthe (1990年)
This Is Now (1991年)
Benny Rides Again (1992年) ※with ゲイリー・バートン
Brahms: Clarinet Quintet, Op. 115 (1993年)
Under the Influence (1993年)
Real Time (1994年)
The Five Seasons (1995年)
Beautiful Love (1997年)
Blues for Sabine (1999年)
Swing Low Sweet Clarinet (2000年)
Crossing the Line (2004年)
Mean What You Say (2005年)
Beautiful Love (2006年)
Homecoming: Eddie Daniels Live at the Iridium (2007年)
A Duet of One (2009年)
Live at the Library of Congress (2012年)
Duke at the Roadhouse: Live in Santa Fe (2013年)
Just Friends: Live at the Village Vangaurd (2017年)
Heart of Brazil (2018年)
* Night Kisses (2020年)

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