エトナ映画社

エトナ映画社の歴史

エトナ映画社は、1934年9月に京都で設立された映画制作会社であり、数々のサイレント映画とトーキーを手掛けたが、わずか半年後の1935年4月には解散してしまいました。そもそもこの映画会社の前身となるのは、1925年に設立されたマキノ・プロダクションであり、これによりエトナ映画社は映画産業の一翼を担うこととなりました。

背景と設立の経緯

1940年代初頭、エトナ映画社が活動を開始する前、かつて東亜キネマから分岐した牧野省三が設立したマキノ・プロダクションの存在が重要な位置を占めていました。マキノ・プロダクションは多くの映画を手掛け、特にサイレント映画の黄金時代を形成しました。しかし、これに続く時代の流れの中で、様々な理由により複数の映画会社が解散していきました。

エトナ映画社は、マキノ・プロダクションの解散後に松竹キネマにより接収され、御室撮影所が再オープンされる際に新たに設立されたものであり、当初はその名を「エトナ映画京都撮影所」としていました。

映画制作と作品

設立当初、エトナ映画社は後藤岱山や稲葉蛟児など、マキノ・プロダクション出身の実力派監督を数多く起用し、映画制作に取り組みました。先駆的なマキノの宣伝部長のもと、多様なジャンルの映画が製作され、記憶に残る作品も生まれました。

同社は、以下のような映画を製作しました：

• - 『神崎東下り』（1934年）：後藤岱山監督、原作は吉田奈良丸。
• - 『霧隠忍術旅』（1935年）：各務二郎監督、原作は桐葉亭豊念。
• - 『鉄の爪』（1935年）：後藤岱山監督によるトーキー作品。
• - 『黄金菩薩剣』（1935年）：稲葉蛟児監督。
• - 『義人長七郎』（1935年）：稲葉蛟児監督。

これらの作品は、当時の観客に新たな体験を提供し、映画制作の可能性を広げる役割も果たしました。

解散とその後の影響

エトナ映画社は9本の映画を別々に製作した後、設立からわずか半年で解散に至りました。解散後、在籍していた監督や俳優たちは別の映画プロダクションに移り、例えば後藤や綾小路は極東映画社に、田中はフリーランスとして活動を続けました。水原はマキノトーキー製作所に参加し、藝能界での活動を続けた人物もいました。

解散後に所有していた御室撮影所は、松竹キネマに接収され、松竹御室撮影所となりました。この撮影所では、伊藤大輔監督による『あさぎり峠』のみが製作され、その後は名作が生まれることとなります。

最後に

エトナ映画社の活動は、1930年代の映画業界における一時的な存在でしたが、当時の京都における映画制作の歴史に欠かせない一ページを残しています。2004年に「京都新聞」でその詳細が報じられた際、エトナ映画社の全容が明らかとなり、再評価の機運が高まりました。

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