稲葉蛟児

稲葉蛟児（いなば こうじ）について

稲葉蛟児（本名：稲葉義信）は、1904年2月11日に静岡県清水市に生まれた日本の映画監督および脚本家です。彼は、昭和初期から日本映画界において重要な役割を果たしてきた人物であり、そのキャリアは多岐にわたります。特に、マキノ・プロダクション時代から始まり、その後はインディペンデント制作にも携わり続けました。

初期のキャリア

稲葉は、旧制静岡県立静岡中学校を卒業後、映画の専門的技術を習得するために東亜キネマ甲陽撮影所に現像部へ入社します。彼は後に撮影助手としてキャリアをスタートし、1925年には阪東妻三郎主演の映画『雄呂血』に撮影助手として参加しました。この作品での経験を経て、彼はマキノ・プロダクションに入社し、著名な監督である二川文太郎や牧野省三から多くの技術を学びました。

監督デビューと成長

1928年、稲葉は脚本家・西條照太郎の監督デビュー作である『強者』の撮影を担当してから、監督デビューへと至ります。同年の『間者』では共同監督としても活躍し、続く『傴僂の兄貴』では本格的に監督名「物部晋太郎」としてオリジナル脚本も手がけました。このように、彼は早くから日本映画界において頭角を現し、1932年には市川右太衛門プロダクションに移籍し、さらなる飛躍を遂げました。

インディペンデント映画の道

マキノ・プロダクションの倒産後、稲葉は様々な映画製作所で活動します。市川右太衛門プロダクションやエトナ映画社など、多くのインディペンデント映画制作に参加しました。彼はサイレント映画時代からトーキー時代にかけて、剣戟映画を中心に多様な作品を生み出しました。1937年からは今井映画製作所に移籍し、トーキー映画に関わるようになりますが、そこでも多くの作品を残しました。

戦後の活動と影響

第二次世界大戦後も、稲葉は映画制作から離れず、1951年には大京映画で『陰獣をめぐる七人の女』を監督しました。1970年代には宝塚映画製作所に在籍し、テレビ映画や劇場用映画の製作・演出に携わっていたとされています。しかし、その後の動向については多数の伝記資料では不明となっています。

生涯

稲葉蛟児は1989年9月2日に亡くなり、85年の生涯を見送りました。その作品は、日本映画における重要な一幕を形成し、彼の名前は今も多くの映画ファンの記憶に残っています。彼が残した数々の作品は、現代においても評価され続けています。

代表作

• - 『雄呂血』（1925年）- 撮影助手
• - 『強者』（1928年）- 監督デビュー作
• - 『間者』（1928年）- 共同監督
• - 『傴僂の兄貴』（1928年）- 監督/脚本
• - 『水戸黄門漫遊記 長次快心の巻』（1932年）- 監督
• - 『獄門島』（1949年）- 監督助手
• - 『陰獣をめぐる七人の女』（1951年）- 監督

稲葉蛟児は日本映画に多大な影響を与えた人物であり、その独特の視点と多作な作品群は、映画史に名を刻んでいます。

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