エトナ火山

エトナ火山：ヨーロッパ最大の活火山と、その歴史と伝説

イタリア南部シチリア島の東部にそびえ立つエトナ火山（Etna、旧名Mongibello）は、ヨーロッパ最大の活火山です。その標高は活発な火山活動のため常に変化しており、最新の測定では3300メートルを超えます。アルプス山脈を除けば、イタリア最高峰の山でもあります。直径140キロ[[メートル]]、面積約1190平方キロ[[メートル]]という広大な火山体を持つエトナ火山は、イタリアにある3つの活火山のなかでも圧倒的な規模を誇り、2番目に高いヴェスヴィオ火山の約3倍もの高さがあります。

エトナ火山は世界でも有数の活火山であり、頻繁に噴火を繰り返しています。時には大規模な噴火も起こしますが、特別に危険な火山とはみなされておらず、数千人が山麓や斜面に居住しています。肥沃な火山性土壌を利用したブドウ畑や果樹園が広がり、人々は火山と共存する生活を営んでいます。

誕生から現在まで

エトナ火山の火山活動は、約50万年前から始まったと推定されています。当初は海底火山であったと考えられており、約30万年前までは現在の山頂よりも南西の地域で活発な活動が行われていました。その後、約17万年前頃から現在の位置へと活動の中心が移動し、ストロンボリ式噴火を繰り返してきました。東斜面には、ヴァッレ・デル・ボーヴェと呼ばれる巨大な凹地が存在しますが、その形成原因については大規模な崩壊か陥没か、現在も議論が続いています。

幾度と繰り返された噴火の歴史

エトナ火山は、数多くの噴火を記録しています。その中には甚大な被害をもたらした大噴火も含まれます。例えば、1169年には1万6000人以上の死者を出した大噴火、1669年にはカターニア市の一部を壊滅させた大規模な噴火が知られています。19[[79年]]の噴火では、火口周辺の立ち入りが解禁された直後に再噴火が起こり、観光客を含む40人以上が死傷する事態となりました。近年においても、2002年、2005年、2007年、2011年、2015年、2017年と、様々な規模の噴火が観測されています。2018年にはマグニチュード4.8の地震も発生しました。これらの歴史は、エトナ火山の活動の活発さと、その潜在的な危険性を示しています。

神話と伝説に彩られた山

エトナ山は、ギリシャ神話やローマ神話など、数多くの神話や伝説の舞台となっています。風の神アイオロスが洞窟に風を閉じ込めた、ゼウスに敗れた怪物テューポーンが封印され、そのもがきが噴火を引き起こす、アテーナーに敗れた巨人エンケラドスが炎を吐き続けるなど、様々な神話が語り継がれています。また、哲学者エンペドクレスが神性を証明するために火口に身を投げたという伝説や、聖アガタの奇跡によって溶岩流が止まったという伝説なども、エトナ山にまつわる神秘性を深めています。ローマ皇帝ハドリアヌスが朝日を見るために登頂したという記録も残されています。

世界遺産としての価値

エトナ火山は、2013年にユネスコの世界遺産リストに登録されました。その登録基準は「(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの」であり、地球の歴史を理解する上で重要な地質学的・地形学的価値が認められています。

スポーツの舞台として

エトナ火山は、世界的な自転車ロードレースであるジロ・デ・イタリアのコースにも何度か採用されています。1967年の初採用以降、2018年までに5回ゴール地点として利用されており、その雄大な風景は世界中のサイクリストを魅了しています。

エトナ火山は、自然の驚異、歴史の舞台、そして神話の世界が交錯する、まさに特別な場所と言えるでしょう。

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