エドガー・フランク・コッドの生涯と業績
エドガー・フランク・コッド(通称テッド・コッド)は、
1923年8月23日に
イングランドの
ドーセット州ポートランド島で誕生しました。彼は後に
計算機科学の世界で特に著名な業績を残すことになります。彼は
オックスフォード大学エクセター・カレッジで
数学と
化学を学び、第二次世界大戦中は
イギリス空軍のパイロットとして参加しました。戦後の
1948年、コッドは
アメリカ合衆国ニューヨーク州に移住し、
IBMに
プログラマとして入社します。
しかし、
1953年に上院議員ジョセフ・マッカーシーの関与を受け、
カナダの
オタワへと移ります。10年後、米国に戻った彼は
ミシガン大学で
計算機科学の博士号を取得し、その後
テネシー大学で
数学の講師を務めました。その後、
サンノゼにある
IBMのアルマーデン研究所に所属し、
1980年代まで活動を続けました。
コッドは1990年代に病気に見舞われ、徐々に職業的な活動から引退していきましたが、
1981年には
チューリング賞を受賞し、1994年にはACMのフェローに選出されます。彼は
2003年4月18日に
フロリダ州ウィリアムズ・アイランドで
心不全により79歳で亡くなりました。
主な業績
コッドの研究は、特に関係
データベース管理の理論的基盤となる
関係モデルの提唱によって知られています。1965年に
ミシガン大学で博士号を取得する際、彼は
セル・オートマトンに関する論文を執筆しました。彼の研究は、リーディングな理論を発展させ、8状態で自己複製可能な
セル・オートマトンの実例を示しました。彼のこの研究が実装されたのは2009年でした。
1970年、コッドは「A Relational Model of Data for Large Shared Data Banks」という画期的な論文を発表します。この論文では関係
データベースのコンセプトを初めて提示し、
データ管理の方法論に大きな影響を与えました。しかし、
IBMは当初、このモデルを実装することを拒み、他の競合が同様のシステムを開発して初めて、この
関係モデルの導入を検討するようになります。
IBM内での葛藤があったものの、コッドは顧客を通じて自身のモデルの実装を推進し、システムRプロジェクトが設立されました。このプロジェクトでは彼のAlpha言語が使用されることはありませんでしたが、その結果として生まれた言語SEQUEL(後の
SQL)は、当時のシステムよりも進んだ特性を持っていました。
さらに、コッドは
クリス・デイトと協力し、
関係モデルのさらなる発展を追求しました。
関係の正規化(特にボイス・コッド正規形)は、彼の名を残すものであり、
データベース理論における基盤の一部となりました。コッドの研究の中で、関係代数と
関係論理の表現力が同等であることを示したのが「コッドの定理」と呼ばれるもので、これも彼の功績の一つです。
コッドはまた、
1993年に発表した「Providing
OLAP to User-Analysts: An IT Mandate」などによって、
データウェアハウスや
OLAP(Online Analytical Processing)の発展に寄与しました。
OLAPという用語の創始者でもあるコッドは、業界でのメールを通じた悪質なベンダーとの戦いに積極的に関与し、関係
データベースを定義するための12の規則を公表しました。
彼の業績は後世の
計算機科学者にも影響を与え、特に
データベース分野において多くの研究が彼の理論を基盤に進められています。2004年にはSIGMODがコッドの業績を称え、その名を冠した「SIGMODエドガー・F・コッド革新賞」を創設しました。彼の業績は
データベース研究の礎を築いたと言えるでしょう。