エドワード・シアガ

エドワード・フィリップ・ジョージ・シアガは、1930年5月28日にアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンで生まれ、ジャマイカの政治家として、また音楽プロデューサーとして、その生涯に多くの足跡を残しました。

生い立ちと音楽活動

シアガは、レバノン系ジャマイカ人の母とスコットランド系ジャマイカ人の父のもと、生後間もなくジャマイカに移住しました。キングストンとセント・ジェームズ教区の小学校、ウォルマー高校を経て、ハーバード大学を卒業。その後、音楽の世界にも足を踏み入れ、1958年にキングストンにレコーディングスタジオ兼レコードレーベル「WIRL (West Indies Recording Limited)」を設立しました。ここで、メントやスカといったジャマイカ音楽を欧米に紹介するプロデューサーとしての才能を発揮。特に、1959年に発表されたヒッグス&ウィルソンの楽曲「Manny Oh」は、ジャマイカ音楽産業における初期のヒット曲となりました。1968年、政界での活動が多忙になったため、WIRLをバイロン・リーに売却。リーは後にWIRLをジャマイカ有数のレコード会社に育て上げました。

政界への進出と保守化

1959年、シアガは独立準備議会上院の議員として政界入りしました。当初は革新的な立場でしたが、ジャマイカ労働党（JLP）の党首に就任してからは、より保守的な政策を推進しました。1962年のジャマイカ独立後は、アレクサンダー・バスタマンテ政権で保健・開発大臣を、ヒュー・シアラー政権では財務大臣を務め、その手腕を発揮しました。

しかし、1970年代には、自身が支援するキングストン市チボリガーデン地区のギャング「シャワーパシ」と、マイケル・マンリー率いる人民国家党（PNP）支持者との間で、激しい対立が勃発。内戦に近い状況となり、多くの犠牲者が出ました。1980年の総選挙では、選挙戦だけで889人もの死者を出すという悲劇に見舞われました。

首相としての功績と失速

1980年の総選挙で、シアガ率いるJLPは、アメリカ軍駐留やボーキサイト関税撤廃などの公約を掲げ、57%の得票率で圧勝しました。そしてシアガはジャマイカの首相に就任。アメリカのロナルド・レーガン大統領と会談するなど、アメリカとの関係を強化しました。

しかし、1983年のグレナダ侵攻を支持したことや、公約であったボーキサイト関税の撤廃を早期に実行できなかったことから、アメリカからの支持を失い、国内での支持率も急落しました。メディアからは批判され、外国投資家もジャマイカから離れていきました。1987年と1988年には暴動が起こり、1989年の総選挙では、マイケル・マンリー率いるPNPに敗北し、首相の座を失いました。

政界引退と晩年

総選挙敗北後も、シアガは2005年までJLPの党首を務めましたが、首相に返り咲くことはありませんでした。その後、西インド諸島大学モナ校で研究員を務めました。シアガは1965年から1996年までミス・ジャマイカのマリー・コンスタンティンと結婚し、3人の子供をもうけましたが離婚。その後、1997年にカーラ・ヴァンドリエスと再婚し、娘をもうけました。2019年5月28日、89歳でその生涯を閉じました。

エドワード・シアガは、ジャマイカの政治と音楽の両面において重要な役割を果たした人物です。その政治姿勢には賛否両論ありましたが、ジャマイカの歴史に深く刻まれた存在であることは間違いありません。

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