ボーキサイト

ボーキサイトについて

ボーキサイト（英: bauxite、鉄礬土）は、アルミニウムの主要な原料であり、通常は酸化アルミニウム（Al2O3）を52から57パーセント含む鉱石です。化学的にはギブス石、ベーム石、ダイアスポアなどの水酸化アルミニウム鉱物の混合物であり、実際には鉱物よりも岩石として分類されます。ボーキサイトという名前は、1821年にフランスのレ・ボー＝ド＝プロヴァンスで発見されたことに由来しています。

特徴と性質

ボーキサイトは色彩が豊かで、赤灰色を基調にしながらも白色、黒色、緑色を帯びることもあります。その形状は豆状で、比重は約2.5、硬度は1から3の範囲で比較的柔らかい特徴があります。また、風化に強い酸化アルミニウムが含まれているため、風化が進んだ場合、熱帯性土壌であるラテライトを経て生成されると考えられています。特に、かつて熱帯雨林が広がっていた地域では、ボーキサイト鉱床が豊富に存在しています。

ボーキサイトの粉塵を吸引することによって発症する疾患「ボーキサイト肺」は進行が非常に早く、場合によっては4年ほどで命に関わる可能性があるため、長時間の取り扱い時には防塵マスクが推奨されます。

用途と加工

ボーキサイトはアルミニウムの精製が主な用途ですが、他にも耐火用の混合材や研磨材、アルミナセメントの原料としても使用されます。また、高い比熱を持つ特性を活かして、ソーラーハウスの熱蓄積材として利用されることもあります。アルミナは地殻において非常に豊富に存在する元素ですが、その大半は精錬が難しいアルミノケイ酸塩の形で存在しています。そのため、ボーキサイトがアルミニウムの効率的な原料として重宝されます。

アルミニウム精錬のプロセス

ボーキサイトからアルミニウムを精錬するには、まず不純物である二酸化ケイ素と酸化鉄(III)を取り除く作業が必要です。ボーキサイトを加圧、加熱した濃水酸化ナトリウム溶液に浸すことによって、酸化アルミニウムが溶解し、不溶性の水酸化鉄が沈殿します。この過程で生成される赤泥と呼ばれるものが不純物です。次に、上澄みから水酸化アルミニウムの結晶を析出させ、沈殿したものを焼成することでアルミナが得られます。この精錬方法はバイヤー法とも呼ばれています。

アルミニウムを精製する際は、氷晶石を用いてハロゲン化物電解を行うホール・エルー法という手法が主流です。アルミナを約5%混ぜた氷晶石に炭素電極を使用することで、単体のアルミニウムが生成されます。

産出状況

ボーキサイトの生産量が最も多いのはオーストラリア、中国、ギニアの3国で、2017年には中国が世界のアルミニウム生産の半分を占めるまでに至りました。急激に増加するアルミニウムの需要に対して、ボーキサイトの埋蔵量は今後数世紀にわたって需給に応えられるほどに豊富です。リサイクルの進展により、新しいアルミニウムを生産するよりもコストを抑えられることから、ボーキサイトの可採年数は延びています。

2010年11月には、ベトナムが自身のボーキサイト埋蔵量を110億トンと発表し、世界最大であるとしています。今後のボーキサイトの利用状況とアルミニウム生産の動向が注目されています。

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