エドワード・ハワード (第9代ノーフォーク公)

第9代ノーフォーク公エドワード・ハワード：波乱の生涯と爵位の行方

第9代ノーフォーク公エドワード・ハワード（1686年6月5日 - 1777年9月20日）は、激動の時代を生きたイギリスの貴族です。彼の生涯は、政治的な陰謀への関与疑惑、爵位の継承、そして子孫を残せなかったことによる爵位の停止など、波乱に満ちたものでした。

生い立ちとジャコバイトとの関わり

エドワード・ハワードは、第6代ノーフォーク公ヘンリー・ハワードの次男トマス・ハワード卿とエリザベス・サヴィルの間に生まれました。兄には、後に第8代ノーフォーク公となるトマスがいました。

1715年のジャコバイト蜂起の際、エドワードは関与を疑われ、大逆罪で裁判にかけられました。しかし、兄である第8代ノーフォーク公の尽力により、釈放されています。しかし、1722年には再びジャコバイトとの関与を疑われ、兄と共に逮捕され、6ヶ月間投獄されるという苦難を経験しました。

ノーフォーク公爵位の継承と晩年

1732年、兄トマスの死去に伴い、エドワードはノーフォーク公爵位を継承しました。しかし、彼は1727年にメアリー・ブロウントと結婚したものの、子供を授かることはありませんでした。

1777年9月20日、エドワードは子を残すことなく死去しました。彼の死は、ハワード家、そしてイングランド貴族社会に大きな影響を与えました。

爵位の行方

エドワードの死後、彼が保有していた爵位のうち、祖父の代に創設されたノーリッジ伯とライジング城のハワード男爵は廃絶となりました。また、議会召集令状による爵位であるファーニヴァル男爵、タルボット男爵、ブラックミアのストレンジ男爵、モウブレー男爵、セグレイヴ男爵は、彼の弟フィリップの娘たちの間で優劣が決められず、停止（abeyance）となりました。これらの爵位は、複数の相続人の間で権利が宙に浮いた状態となり、その帰趨は未だに不確定です。

一方で、ノーフォーク公爵位を含むそれ以外の爵位は、祖父の弟の孫にあたるチャールズ・ハワードに継承されました。これにより、ハワード家の血統は維持されることとなりました。

ノーフォーク島との関係

南太平洋に位置するオーストラリア領ノーフォーク島の島名は、エドワード・ハワードの妻であるメアリー・ブロウントに対する敬意から名付けられました。この事実は、彼が社会的に一定の影響力を持っていたことを示唆しています。

まとめ

第9代ノーフォーク公エドワード・ハワードは、ジャコバイトとの関わり、爵位の継承、そして子孫を残せなかったことによる爵位の停止など、波瀾万丈な生涯を送りました。彼の人生は、当時のイギリス貴族社会の複雑な人間関係と政治情勢を反映しており、歴史愛好家にとって興味深い研究対象と言えるでしょう。

参考文献

* 海保眞夫『イギリスの大貴族』平凡社〈平凡社新書020〉、1999年。ISBN 978-4582850208。

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