エドワード・ピゴット

エドワード・ピゴットの生涯と業績

エドワード・ピゴット（1753年 - 1825年）は、19世紀初頭のイギリスで活躍したアマチュア天文家です。彼は、複数の星や彗星を発見し、天文学の分野において重要な貢献を果たしました。特に、食変光星アルゴルの変光メカニズムの解明において、ジョン・グッドリックと協力したことが広く知られています。

幼少期と教育

ピゴットは1753年に、アマチュア天文家のナサニエル・ピゴットの息子として生まれました。フランスで育った彼は、母親の影響でフランス語を学びました。1769年にはノルマンディー地方のカーン近くで金星が太陽面を通過する貴重な現象を目撃しました。この体験がピゴットの天文学に対する興味を一層深めたと言われています。

1781年に彼の家族はイギリスのヨークに移り住みました。その後、彼は近所に住む若い天文学者、ジョン・グッドリックと親しくなり、共に天体観測を行いました。ピゴットとグッドリックの友情は、1786年にグッドリックが若くして他界するまで続きました。

業績と発見

1779年3月23日、ピゴットはかみのけ座で後に黒眼銀河 (M64) として知られる星雲を発見しました。この業績は、その後シャルル・メシエやヨハン・ボーデによる発見よりも先駆けたものでしたが、彼の報告が公表されるまでには時間がかかり、以後約200年間も注目を浴びることはありませんでした。2002年にようやくこの発見が再評価された際には、多くの人々がピゴットの業績に感謝を示しました。

1783年には、彼は周期彗星を発見し、その名を取って「ピゴット彗星」と名付けられました。この彗星の回帰が確認されるまでには長い時間がかかり、最終的に2003年にLINEAR、そして2009年にはリチャード・コワルスキーによって再発見され、現在はピゴット-LINEAR-コワルスキ彗星と呼ばれています。

1784年にピゴットは、わし座のη星の発見を王立協会に報告しました。この星は初めて確認されたケフェイド変光星であり、彼の発見は当時貴重なものでした。彼は当時の著名な天文学者であるウィリアム・ハーシェルやネヴィル・マスケリンと頻繁に手紙のやり取りを行い、情報交換を行っていました。

ピゴットは1786年、親友のグッドリックを失ったことで大きな打撃を受けました。彼はグッドリックを失った後、天体観測への情熱が衰えたと述べていますが、それでも彼は1795年には再び2つの変光星を見つけることに成功しました。彼は1796年にヨークを離れてバースに移り、天文活動は続けたものの、1807年の大彗星を最後に大きな業績は残しませんでした。

晩年と栄誉

1825年、ピゴットはバースで亡くなりました。彼の観測記録やノートはヨーク市の施設に保存されており、後世に大切に伝えられています。

1996年10月26日、アリゾナ州ツーソンに開設されたグッドリック・ピゴット天文台は、彼とグッドリックの友情を記念する目的で名付けられ、天文学者としての功績を称えています。また、小惑星番号10220の小惑星も彼にちなんで「ピゴット」と名付けられ、1997年に発見されました。

エドワード・ピゴットは、クレジットを受けることが少なかったものの、確かな成果を残し、天文学の歴史に名を刻んだ重要な人物であることを忘れてはなりません。

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