エドワード5世 (イングランド王)

エドワード5世の生涯と運命

エドワード5世（1470年11月2日生まれ）は、短期間ではあったものの、イングランドのヨーク朝の王としての運命をたどった重要な人物です。彼は1483年4月10日に父エドワード4世が亡くなった後、わずか12歳で王位を継承しました。しかし、彼の戴冠式が行われる前に多くの劇的な出来事が展開されました。

王位継承と暗黒の時代

エドワード5世がラドロー城からロンドンへの移動をしている際、叔父のリチャード（後のリチャード3世）は政権の掌握を試み、母方の叔父であるリヴァーズ伯を逮捕し、さらにエドワード5世とその弟リチャードをロンドン塔に幽閉しました。この事件は後に「塔の中の王子たち」として知られており、エドワード兄弟の基本的な運命を暗示していました。

エドワード5世の在位期間はわずか数ヶ月で、1483年6月25日には議会が彼と弟を庶子として無効にする決議を下しました。この背景には、権力を求める争いが存在していました。結果として、リチャード3世が即位し、エドワード5世は歴史の舞台から消え去りました。

噂と真実の探求

エドワード5世と弟リチャードがロンドン塔に幽閉された後、彼らの運命については多くの憶測が生まれました。彼らが生きていた時期の記録では、姿が見られなくなるとともに、二人が暗殺されたという噂が広まります。1513年には歴史家トマス・モアが、リチャード3世が腹心の者に指示し、兄弟を窒息死させたとする説を提唱しました。

しかし、これに対する見解は様々で、1768年にはホレス・ウォルポールがリチャード3世を擁護し、王位簒奪者としての記録が誤っている可能性を示しました。近年では、ヘンリー7世の関与が指摘され、エドワード5世とリチャードの命にかかわる説が再考されています。

遺骨の発見と現代の見解

1674年、ロンドン塔の改修工事の際に子供の遺骨とみられるものが見つかり、その後ウェストミンスター寺院に安置されました。しかし、これらの遺骨がエドワード5世のものであるかどうかは不明でした。2020年にはフィリッパ・ラングリーの研究により、エドワード5世が1487年まで生存していた可能性が示され、さらなる研究が行われました。これにより、従来の歴史観が大きくゆさぶられることとなりました。

結論

エドワード5世の物語は、権力、陰謀、運命の急展開が交錯する中で、いかにして歴史が形成されるかを示す興味深い例です。王子たちの運命は今尚謎に包まれ、様々な解釈や見解が存在しています。彼の存在は、イングランド史の重要な一ページに刻まれ続けるでしょう。

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