エド・ウォルシュ

エドワード・オーガスティン・ウォルシュ（通称：ビッグ・エド）は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したアメリカのプロ野球選手で、右投げの投手として知られています。彼の最大の特徴は、その驚異的な通算防御率1.82であり、これはMLBの歴史の中で他に類を見ない記録です。また、1946年にはアメリカ野球殿堂入りを果たし、その功績は長く語り継がれています。

生い立ちとプロ入り

1881年、ペンシルベニア州プレインズで生まれたウォルシュは、1904年にシカゴ・ホワイトソックスでメジャーデビューを果たしました。当初は目立った活躍を見せられませんでしたが、スピットボールを習得した3年目の1906年には、17勝13敗、10完封を記録するなど、その才能を開花させ始めました。同年のワールドシリーズでも2勝を挙げ、チームの勝利に大きく貢献しました。

最盛期

1907年、ウォルシュはアメリカンリーグ最多となる422.1回を投げ、防御率1.60を記録して最優秀防御率のタイトルを獲得しました。この頃から、彼は手抜きをせずに初回から全力で投げるスタイルを確立し、その圧倒的な投球で多くのファンを魅了しました。翌1908年には、66試合に登板し、40勝15敗、269奪三振、防御率1.42という驚異的な成績を残しました。シーズン40勝は、1901年以降のMLBではジャック・チェスブロとウォルシュのみが達成した記録です。

1906年から1912年までの間、ウォルシュはホワイトソックスのエースとして活躍し、毎年のようにリーグ最多の登板回数、先発回数、投球回数を記録しました。この間、防御率は常に1点台を維持し、1911年8月27日にはノーヒットノーランを達成しました。1912年には、年間二桁セーブ（10）をリーグ史上初めて記録しましたが、シーズン終盤から腕の違和感に悩まされるようになりました。

晩年と引退

1913年以降、ウォルシュは腕の痛みに苦しみ、登板回数は激減しました。1917年にはボストン・ブレーブスに移籍しましたが、同年中に解雇され、現役を引退しました。その後、1923年からホワイトソックスのコーチを務め、1924年には監督として3試合だけチームを指揮しましたが、1勝2敗という成績に終わりました。

アメリカ野球殿堂入りとその後

1946年、ウォルシュはベテランズ委員会によってアメリカ野球殿堂入りを果たし、その偉大な功績が讃えられました。晩年は癌に苦しみ、体重が激減しましたが、1959年5月26日、フロリダ州ポンパノビーチで78歳で亡くなりました。息子のエド・ウォルシュ・ジュニアもメジャーリーガーとなりましたが、成功を収めることはできませんでした。

プレースタイルと球種

ウォルシュの主な球種はスピットボールで、他にスローボール（現在のチェンジアップに相当）やカーブも投げていました。彼の最大の武器であったスピットボールは、当時の野球界では非常に強力な球種として知られていました。

詳細情報

ウォルシュの年度別投手成績は以下の通りです（太字はリーグ最高、赤太字はMLB歴代最高）。

最多勝利： 1回（1908年）
最優秀防御率： 2回（1907年、1910年）
最多奪三振： 2回（1908年、1911年）
最多セーブ： 5回（1907年、1908年、1910年-1912年）

記録

通算防御率： 1.82（MLB歴代1位）
シーズン補殺数（投手）： 227（歴代1位）

参考文献

Biography (SABR.org)
Baseballhalloffame.org（英語）
選手の通算成績と情報 Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
投手･打撃成績(レトロシート)

関連項目

親子のメジャーリーグベースボール選手一覧
ノーヒットノーラン達成者一覧
アメリカ野球殿堂表彰者の一覧
メジャーリーグベースボール・オールセンチュリー・チーム

エド・ウォルシュは、その驚異的な成績と不屈の精神で、野球史に名を刻んだ偉大な選手として、これからも語り継がれるでしょう。

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