エド・デラハンティ

エド・デラハンティ (Edward James Delahanty)

1888年にメジャーリーグにデビューし、左翼手として活躍したエド・デラハンティは、1867年にオハイオ州クリーブランドで生まれました。彼は5人兄弟の長男で、全ての兄弟がプロ野球選手として成功を収めているという特異な背景があります。1888年5月にホイーリング球団からフィラデルフィア・クエーカーズ（後のフィラデルフィア・フィリーズ）に入団し、初めは内野手と外野手の両方としてプレーしました。

デラハンティが特に注目を浴びるようになったのは1890年代のことです。彼は1892年に初めて打率が3割を超え、リーグ最多の三塁打21本を記録しました。また、1893年に投手と本塁間の距離が変更されて以降、彼の打撃成績は飛躍的に向上しました。1893年にはリーグ最多の19本の本塁打と146打点をマークし、1894年と1895年も打率4割を超えました。

さらにデラハンティは1896年に二塁打44本、本塁打13本、打点126でリーグ記録を塗り替え、1899年には打率.410を記録して首位打者の座を獲得しました。その年には合計238安打、137打点、55本の二塁打と、様々な記録を作り上げました。彼の打撃スタイルは非常に攻撃的で、俊敏性は「ヒューマン・グラスホッパー」と呼ばれるほどでした。

1901年までフィリーズで活躍したデラハンティは、アメリカンリーグの設立に伴い、1902年にワシントン・セネターズに移籍します。この年も打率.376で再び首位打者となり、チームの期待を一身に受けていました。しかし、運命は彼を容赦なく襲いました。

悲劇的な事故

1903年6月25日、デラハンティは試合後に遠征チームから外れ、永い間会っていなかった妻に会うために帰宅を試みます。しかし、7月2日、彼はカナダからアメリカへ向かう列車の中で泥酔しており、オンタリオ州フォートエリーの駅で強制的に降ろされます。

その後、デラハンティは駅近くの鉄道橋を渡ろうとし、警備員に止められましたが、逃げるように橋を渡った挙げ句、川に落ちてしまいました。一見する限り、彼の死は飲酒が引き起こした事故のように思えますが、歴史家の中には自殺や強盗殺人の可能性を指摘する声もあります。

デラハンティの遺体は、7月9日にナイアガラ渓谷で発見されました。彼は生涯にわたって数々の記録を残し、1945年にはアメリカ野球殿堂入りを果たしました。彼の死はアメリカのプロ野球史において大きな悲劇として語り継がれています。彼の能力と業績は今も多くのファンの記憶に残り、記録的な選手としての地位を築いているのです。

主な成績と称号

• - 首位打者：2回（1899年、1902年）
• - 本塁打王：2回（1893年、1896年）
• - 打点王：3回（1893年、1896年、1899年）
• - 盗塁王：1回（1898年）

彼の通算成績は、特に打撃面で圧倒的なものでした。デラハンティはシーズン打率4割以上を3度記録し、フィラデルフィア・フィリーズの歴代記録に名を残しています。打撃のスタイルと卓越した成績は、野球界において今後も語り継がれるでしょう。

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