エニグマ (ミュージシャン)

Enigma (エニグマ)

Enigmaは、ドイツを拠点とする音楽プロジェクトであり、1990年にミヒャエル・クレトゥとサンドラ・クレトゥを中心に結成されました。クレトゥはルーマニア出身で、クラシック音楽を学んだ後、セッション・ミュージシャンとして活動を開始。サンドラとの出会いを経て、Enigmaを結成するに至りました。

概要

Enigmaの音楽は、民族音楽、グレゴリオ聖歌、カンタータなどの古典音楽と、ダンスビートを融合させた独特のサウンドが特徴です。緻密なサウンド・プロダクションによって生み出される音楽は、世界中でヒットし、多くの模倣作品を生み出しました。一般的には、ディープ・フォレストやアディエマスといった「ヒーリング・ミュージック」の先駆者として認識されています。また、膨大な音素材を劣化なく迅速に合成するために、活動当初からハードディスクレコーディングを導入していました。

略歴

1990年末、ヴァージン・レコードからシングル「サッドネス・パート1」でデビュー。この曲はヨーロッパ各国でヒットし、アメリカでもトップ5入りを果たしました。翌1991年に発売された1stアルバム『サッドネス・永遠の謎（MCMXC a.D.）』も世界的なヒットを記録し、グレゴリオ聖歌に再び注目が集まるきっかけとなりました。

1993年には、映画『硝子の塔(Sliver)』に楽曲を提供。「カーリーの歌(Carly's song)」は後に「エイジ・オブ・ロンリネス(カーリーの歌)(Age Of Lonliness (Carly's song))」と改題され、2ndアルバム『エニグマ2 ザ・クロス・オブ・チェンジス (The Cross of Changes)』に収録されました。同アルバムからシングル・カットされた「リターン・トゥ・イノセンス(Return To Innocence)」は、1996年夏季オリンピックのテーマソングとして使用され、Enigmaの代表曲の一つとなりました。

しかし、「リターン・トゥ・イノセンス」で使用されたサンプリング音源を巡り、台湾アミ族の歌い手であるDifang(郭英男)らから訴訟を起こされました。その後、和解金の支払いと今後のリリースにおけるDifangらのクレジット表記で和解が成立。この一件を機に、台湾原住民の音楽が広く知られるようになりました。

1995年に3rdアルバム『エニグマ3 (Le Roi Est Mort, Vive Le Roi!)』をリリースした後、サンドラの出産に伴い一時活動を休止。2000年には、『ザ・スクリーン・ビハインド・ザ・ミラー（The Screen Behind the Mirror）』で活動を再開し、その後も2～3年に1作のペースでアルバムをリリースしています。

「サッドネス・永遠の謎」の時点では、Enigmaの正体は明らかにされていませんでしたが、「ザ・クロス・オブ・チェンジス」以降のCDライナーノーツで、クレトゥを中心に、サンドラ、ルイーザ・スタンレイ、ピーター・コーネリウス、イェンズ・ガートらが参加していることが明かされました。

Enigmaはライブを計画したこともありましたが、準備に時間がかかるため、レコーディングに専念することにしたというエピソードがあります。

中心人物であるクレトゥは、音楽のダウンロード販売に前向きな姿勢を示しており、その環境保護への貢献を評価しています。日本では、iTunes Storeやmoraを通じてダウンロード販売が行われています。

Enigmaの楽曲は、日本国内のテレビドラマやCMなど、様々な場面で使用されてきました。海外では、アメリカのテレビドラマ「コールドケース」でも使用されています。

2010年の「MMX(The Social Song)」リリース後、しばらく動きがありませんでしたが、2016年に約8年ぶりのアルバム『フォール・オブ・ア・レベル・エンジェル(堕ちた反逆の天使) (The Fall Of a Rebel Angel)』がリリースされました。

Enigmaは、その独特な音楽性で世界中の音楽ファンを魅了し続けています。

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