エネゴリ

エネゴリとは

エネゴリは、日本の大手エネルギー企業ENEOS（旧新日本石油）が展開する、環境およびエネルギー関連のイメージキャラクターです。2007年に初めて登場し、以降、同社の顔として広く知られています。その誕生は、2005年に京都議定書が発効し、地球温暖化対策として温室効果ガスの排出削減が世界的に求められるようになった社会的背景と密接に関係しています。高まる環境問題への関心に応え、消費者、特に家庭に向けて環境に関する情報を分かりやすく伝えるキャラクターとして生み出されました。

キャラクター設定

エネゴリの名前は「エネルギー」と「ゴリラ」を組み合わせた造語に由来します。彼は『エネゴリくんの星』という場所から地球にやってきたという設定を持ちます。地球の環境問題に深い関心を寄せ、ENEOSが行う資源保護や環境保全活動のPR役を務める重要な存在です。企画・制作は、著名なCMプランナーである福里真一氏が手がけました。

彼の性別はオスで、利き手は右。身長はおよそ180センチとされ、体格に合わせた衣装は全てオーダーメイドで作られています。性格は子供好きで、非常に世話焼きな一面があります。感情が豊かで、感動したり興奮したりすると、トレードマークである大きな胸を激しく叩きながら「ウホッ！ウホッ！」と叫ぶのが特徴的な癖です。彼がモデルとするニシローランドゴリラが絶滅危惧種に指定されていることにちなみ、エネゴリの友人にはクロサイ、フタコブラクダ、オランウータンといった、彼と同じく絶滅の危機に瀕している様々な動物たちがいます。

エネゴリはスポーツの応援にも積極的に参加しており、都市対抗野球大会ではENEOS野球部の、WリーグではENEOSサンフラワーズの試合会場に、背番号00のユニフォーム姿の着ぐるみで駆けつけ、スタンドやコートサイドで熱烈な声援を送る姿が見られます。かつてはクマのキャラクターであるエネグマという相方もいましたが、2020年以降はエネグマの登場機会がなく、現在は実質的にエネゴリが単独で活動しています。

制作の経緯と歴史

エネゴリの誕生は、当時の新日本石油が企業戦略の転換を図る中で進められました。環境問題対策への社会的な機運が高まる中、同社は家庭用燃料電池「エネファーム」や太陽光発電といったホームエネルギーシステム事業を強化する必要に迫られました。これまでの重工業的なイメージから、より家庭や地域社会に寄り添う、親しみやすい企業イメージを構築することが求められたのです。そこで、女性や子供を含む幅広い層に受け入れられる新しいイメージキャラクターの制作が決定しました。

キャラクターのモチーフとしてまず動物が候補に挙がり、その中からゴリラが選ばれました。これは、人間に比較的馴染みやすく、二足歩行が可能でCMでの表現が容易であること、森林に生息し環境を想起させるイメージがあること、そして「可愛すぎない」点が決め手となったと言われています。また、ゴリラが持つパワフルなイメージも、漠然とキャラクター性に貢献したと企画者は語っています。キャラクターの原案は、電通のアートディレクターである久保雅由氏によって描かれました。当初は「エネゴリラ」という名称案もありましたが、より身近で愛される存在にするため、「エネゴリくん」という呼称に落ち着きました。

キャラクター導入にあたっては、既存の顧客層が持つブランドイメージを損なう可能性を懸念する社内からの反発もありました。しかし、京都議定書の発効など環境問題への意識がかつてないほど高まっている社会情勢を踏まえ、新たな顧客層を開拓し、ホームエネルギー事業を本格的に展開していくためにはキャラクターが必要不可欠であるという議論が重ねられ、最終的に導入が合意されました。

エネゴリは、「エネオス、エネゴリ、エネファーム」というキャッチコピーと共に広く展開されました。テレビCMでは、女優の水川あさみ氏をはじめ、後にイチロー氏や竹内結子氏、さらに吉田羊氏や上白石萌歌氏といった様々な著名人と共演を果たしています。2009年には、その広告活動が評価され、日本新聞協会の新聞広告賞（広告主企画部門）を受賞しました。特設ウェブサイト「エネゴリくんの星」が開設されたほか、ぬいぐるみなどの関連グッズも積極的に販売・配布され、人気を博しました。2010年にJX日鉱日石エネルギーが設立され、ENEOSに改称された後も、エネゴリは引き続きイメージキャラクターを務めています。こうした多角的なプロモーション活動を通じて、特に主婦層を中心に広く浸透し、あるプレゼントキャンペーンでは10万通もの応募が殺到するほどの大きな反響を呼びました。

近年では、2020年東京オリンピックに関連したテレビCMも制作され、山梨県内の陸上競技場で100メートル走に挑戦する様子が放映されました。このCMには、エネゴリや共演者を追い抜く新キャラクター「スーパーエネゴリくん」が登場し、かつてテレビ朝日系列で放送された番組『ビートたけしのスポーツ大将』に登場した「カール君」を彷彿とさせると話題になりました。

キャラクターの運用においては、設定が過剰になりすぎないよう、「ウホッ」という声以外の明確な台詞を与えないなど、抑制的な方針が徹底されています。これにより、彼のシンプルで親しみやすいキャラクター性が保たれています。

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