エネス・カンター・フリーダム

エネス・カンター・フリーダム：バスケットボールと社会貢献の軌跡

エネス・カンター・フリーダム（Enes Kanter Freedom, 1992年5月20日 - ）は、スイスのチューリッヒ出身で、アメリカ合衆国の元プロバスケットボール選手です。ポジションはセンター。

プロ入りまでの道のり

2006年、カンターはトルコリーグ（TBL）のフェネルバフチェ・ユルケルのジュニアチームでキャリアをスタートさせました。2008-2009シーズンには、シニアチームの控え選手としてユーロリーグに4試合、ターキッシュリーグに5試合出場。この時期にチームから受け取った報酬が、後の彼の選手資格に影響を与えます。フェネルバフチェやギリシャリーグのオリンピアコスBCからプロ契約のオファーを受けますが、カンターはアメリカの大学でプレーすることを望み、これらのオファーを断りました。

2009-2010シーズンには、アメリカ・カリフォルニア州の高校でプレー。2010年のナイキ・フープサミットでは、ダーク・ノヴィツキーが1998年に記録した最高得点を上回る34点を獲得し、その才能を示しました。Rivals.com、Scout.comからは五つ星の評価を受けています。

大学進学については、UCLA、USC、インディアナ大学、UNLVなどからオファーを受けていましたが、当初はワシントン大学への進学を決意。しかし、後にケンタッキー大学への進学を発表しました。NCAAは、カンターがフェネルバフチェ・ユルケルから受け取った報酬が規定を超えるものと判断し、彼の選手資格を剥奪。ケンタッキー大学でプレーすることは叶いませんでした。

NBAでの活躍

2011年のNBAドラフトで、カンターはユタ・ジャズから1巡目全体3位で指名を受け、NBA選手としてのキャリアをスタートさせました。

2015年2月にはオクラホマシティ・サンダーに移籍。シーズン終了後、ポートランド・トレイルブレイザーズから提示された4年7000万ドルのオファーシートにサインしますが、サンダーが同条件で再契約し、残留が決まりました。2015-2016シーズンには、チーム唯一の全試合出場を果たし、4月7日のトレイルブレイザーズ戦ではキャリアハイとなる33得点20リバウンドを記録。サンダーの選手として初の"30-20"を達成しました。

その後、2017年9月にはカーメロ・アンソニーとのトレードでニューヨーク・ニックスへ移籍。2019年2月には、強豪チームでのプレーを求め、ニックスとの契約をバイアウトしFAとなりました。

2019年2月13日、ポートランド・トレイルブレイザーズとシーズン終了までの契約を締結。プレーオフでも活躍し、チームのカンファレンス決勝進出に貢献。オフにはFAとなりました。

2019年7月17日、ボストン・セルティックスと2年1000万ドルで契約。2020年11月18日には3チーム間のトレードでブレイザーズに復帰。2021年8月13日には、再びセルティックスと契約しました。しかし、2022年2月10日にヒューストン・ロケッツへトレードされ、その後解雇されています。

トルコ代表としての活動

カンターは、U-18バスケットボールトルコ代表として国際舞台でも活躍。バスケットボールヨーロッパジュニア選手権では、準決勝で32得点25リバウンド、決勝で35得点19リバウンド4ブロックショットを記録し、大会MVPに選ばれました。

人物像と社会活動

カンターはプロレス好きとしても知られ、WWEの番組にゲスト出演したこともあります。また、引退後はプロレスラーを目指す意向も示しています。

政治的な発言も積極的に行い、2017年にはトルコ大統領のレジェップ・タイイップ・エルドアンを、2021年には中国共産党総書記の習近平を批判。中国政府当局の反感を買いました。2022年にはIOCとその会長トーマス・バッハ、更には姚明をも批判しています。

2021年にはアメリカ合衆国の国籍を取得し、エネス・カンター・フリーダムと改名しました。

家族

父親のメメット・カンターはチューリッヒ大学で博士号を取得し、現在はトルコの大学教授を務めています。弟のケレム・カンターもプロバスケットボール選手で、Bリーグの秋田ノーザンハピネッツに所属しています。

エネス・カンター・フリーダムは、バスケットボール選手としての才能に加え、社会問題に対する積極的な姿勢で、多くの人々に影響を与え続けています。

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