エパクト

エパクトについて

『エパクト（epact）』は、暦法において太陽の動きに基づく太陽年と、月の満ち欠けに基づく太陰年とのずれを整数値（0から30）で示す用語です。この数値は、特に復活祭の日付を計算する際に重要な役割を担っています。エパクトという語は、ギリシャ語で「余所から追加された日々」を意味する「エパクタイ・ヘーメライ」に由来しています。

太陽年と太陰年

通常、太陽年は365日の周期を持ち、春分点から再び春分点に戻るまでの時間を示します。一方、太陰年は約29.5日の朔望月が12回重なり、354日となります。このため、太陰年は太陽年よりも約11日短く、両者が同時に始まると、太陽年が終了するころには太陰年は次の年へと進んでいることになります。この差を『エパクト』と呼び、例えばエパクト数が14であれば、1月1日時点で太陰年が既に14日進んでいることを示します。

エパクトの使用

エパクトは、特にキリスト教の復活祭の日付を決定するために必要な数値として重要です。復活祭は、春分点以降の最初の満月に続く日曜日に祝われるため、エパクトを用いてその日を割り出します。そのため、エパクトに関連する一覧表が多く存在し、基準となる日付も定められています。

メトン周期

紀元前433年に、数学者メトンが発見したメトン周期は、太陽年19年分が太陰年の朔望月235か月にほぼ等しいことを示しています。この期間によって、エパクトが累積的にずれていくことが理解されており、一周期の終わりにエパクトに1が加算される特別な補正が必要です。この補正は、「サルトゥス・ルーナエ」と呼ばれ、月齢のずれを調整する目的もあります。

グレゴリオ[[暦]]におけるエパクトの計算

グレゴリオ[[暦]]では、太陽年と月を調整するために、リリウスという天文学者が新たなエパクト補正ルールを導入しました。最初の補正として、太陽とのずれを調整するために97の閏日が400年間に挿入され、エパクトの数値に-1が適用されます。第二の補正は月との調整で、約2500年間に8回エパクトに+1を加え、月の満ち欠けを考慮しています。

エパクトの数値とその意味

グレゴリオ[[暦]]におけるエパクトは30通りあり、それぞれが太陰年との絡みを持っています。この数値を用いることで、毎年の月齢とエパクト数値は密接に関連し、特定の年において月齢がどのように進んでいるかを示しています。ただし、エパクトは実際の日数ではなく、あくまで月の周期と関連した数値であるため、暦日のずれをそのまま示すことはありません。

結論

エパクトは、太陽年と太陰年の関係を示し、特に復活祭といった重要な日付の計算において不可欠な数値です。その調整方法や包括的な理解は、暦の科学と天文学を通じて築かれてきました。グレゴリオ[[暦]]におけるエパクトの役割は今もなお重要なものであり、暦法の中での地位は揺るがないものとなっています。

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