エフォロイ

エフォロイについての詳細

エフォロイ（古代ギリシア語: Ἔφορος）は、古代ギリシアのスパルタにおいて設けられた特異な公職であり、スパルタの二人の王と権力を分かち合う重要な役割を果たしていました。この役職は、選挙で選ばれた五人のエフォロイによって構成され、彼らはスパルタ市民全員の中から選ばれました。エフォロイという言葉は、「監視する者」という意味合いを持ち、彼らが果たす監督の役割を象徴しています。ここでは、この興味深い制度の背景や機能、歴史的意義について考察します。

エフォロイの役割と選出制度

エフォロイは通常、スパルタ市民の中から公選で選ばれ、任期は一年となっていました。一度選ばれた者は再任はなく、一定期間の責任を全うすることが求められました。エフォロイの権限は広範囲に及び、スパルタの民会を召集したり、法案を提出し、また国政に関する重要な決定を行う役割も担っていました。

ヘロドトスによると、エフォロイ制度はスパルタの法律家リュクルゴスによって設置されたとされている一方で、プルタルコスはこの制度が彼の死後に生まれたものであると記しています。このように、エフォロイの起源については異なる見解がありますが、その重要性は揺らぎません。

権力の分配とエフォロイの影響力

エフォロイの存在により、スパルタという厳格な軍事社会においても王の権力が抑制される仕組みが形成されました。スパルタは二人の王を持ちましたが、彼らが協力し合うとは限らなかったため、エフォロイの権限は状況により変動しました。王が意見を一致させて国政を進める場合、エフォロイはその政策に介入することができず、逆に王の不和が生じた場合には彼らの権限が強化されました。

特異な制度と軍事行動

エフォロイは特殊で危険な軍事訓練、クリュプテイアを開始する権限も持っていました。プルタルコスは、エフォロイが流血沙汰の罪を恐れずにスパルタ人にヘイロタイ（農奴）を襲撃させることができたと記しています。この訓練は、スパルタ兵士の軍事技能を高める一方で、ヘイロタイに対する恐怖心を生むものでした。

歴史的変遷

紀元前403年、スパルタ王パウサニアスがアッティカへ軍を派遣した際、その失敗を受け、市民から告訴された結果、エフォロイが政策変更の決定を行ったことが記録されています。さらに、紀元前227年には王クレメネオースがクーデターを起こし、エフォロイを一時的に廃止しました。しかし、その後、マケドニアのアンティゴノス3世ドソンが復活させるなど、エフォロイの制度は長い間存在し、最終的にはハドリアヌスによって廃止されるまで続きました。

まとめ

エフォロイは、スパルタの公職の一環として、権力の均衡を保ちつつスパルタ市民の意見を政治に反映させる役割を果たしました。その特異な制度と歴史的役割は、古代ギリシアの政治制度の一部として、今もなお多くの歴史的研究の対象となっています。社会的責任と制約の中で、エフォロイたちはどのようにしてスパルタの歴史を形作っていったのか、一つの興味深いテーマと言えるでしょう。

もう一度検索