エボニー・アンド・アイボリー
エボニー・アンド・アイボリー（Ebony and Ivory）
「エボニー・アンド・アイボリー」は、1982年にポール・マッカートニーとスティーヴィー・ワンダーによってリリースされたシングルで、両アーティストの夢の共演と称されています。この楽曲は、マッカートニーのアルバム『タッグ・オブ・ウォー』に収録されており、その後も1987年と2016年にリリースされたベストアルバムにも再収録されています。
楽曲の背景
1981年の2月28日、モントセラトのAIRスタジオにてこの曲のレコーディングが行われました。演奏はマッカートニーとスティーヴィーの二人のみで、ブラックミュージックの巨匠スティーヴィーとポップの天才マッカートニーという、異なるジャンルのアーティストが共演したことで話題を呼びました。
楽曲のテーマは「ピアノの黒鍵（エボニー）と白鍵（アイボリー）が調和を奏でるように、人種を超えて調和する人類」というもので、歌詞にもそのメッセージが込められています。リリースの際には、このメッセージが大きく受け入れられ、多くの反響を生み出しました。
チャート成績
シングルは1982年5月15日にアメリカのビルボードチャートで第1位を獲得し、7週連続でトップを維持しました。また、ビルボードの1982年年間チャートでも第4位に入るなど、高い評価を受けました。イギリスでも週間及び年間チャートで1位を記録し、マッカートニーにとってビートルズ解散後、ウィングス時代も含む初の両国での1位獲得曲となりました。日本でもオリコン洋楽チャートで第1位に輝き、世界中での人気を証明しました。
ミュージック・ビデオとパフォーマンス
この曲のミュージック・ビデオでは、マッカートニーとスティーヴィーが共演しているように見えますが、実際にはスケジュールの都合で別々に撮影した映像を合成して作成されました。その後、1989年のマッカートニーの『Get Back Tour』では、ロサンゼルスでの公演でスティーヴィーが客席から登場し、デュエットを披露しました。さらに、2010年にはホワイトハウスでの授賞式でオバマ大統領の前で再び共演しました。
レコーディングのエピソード
「エボニー・アンド・アイボリー」のレコーディング中、マッカートニーは盟友ジョン・レノンの訃報を受けたため、心の整理をしながら作業に挑みました。この楽曲に収録されているカップリング曲「レインクラウズ」は、ウイングスのメンバーであるデニー・レインとの共作です。また、12インチシングルにはマッカートニーのソロ・バージョンも収録されており、スティーヴィーとのデュエットとは異なるアプローチが施されています。このソロバージョンのミュージック・ビデオでは、マッカートニーがピアノを弾きながら歌い、黒人ダンサーや囚人が出演しています。
参加ミュージシャン
- - エボニー・アンド・アイボリー:
- スティーヴィー・ワンダー: ボーカル、バッキングボーカル、エレクトリックピアノ、シンセサイザー、パーカッション、ドラム
- - レインクラウズ:
- リンダ・マッカートニー: バッキングボーカル
- デニー・レイン: バッキングボーカル
- エリック・スチュワート: バッキングボーカル
- パディ・モローニ: ユイリアン・パイプス
- - エボニー・アンド・アイボリー（ソロ・バージョン）:
- スティーヴィー・ワンダー: エレクトリックピアノ、シンセサイザー、パーカッション、ドラム
「エボニー・アンド・アイボリー」は、ただの楽曲を超えて、人種間の調和や融合を象徴する存在として、今もなお多くの人々に親しまれています。
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