エマウサウルス

エマウサウルスは、前期ジュラ紀トアルシアン期に生息した、装甲を持つ初期の装盾類恐竜です。化石はドイツで発見され、装盾類の進化を研究する上で重要な資料となっています。

発見と命名

エマウサウルスの化石は、グライフスヴァルト大学の研究者ヴェルナー・エルンストによって1963年に発見されました。発見場所は、ドイツ北東部、メクレンブルク＝フォアポンメルン州のグリンメン近郊にあるロームピットです。この場所からジュラ紀前期の地層が発見されました。その後、ハルトムート・ハウボルトによって1990年に新属新種として命名・記載されました。

属名「Emausaurus」は、化石が保管されているグライフスヴァルト大学（Ernst-Moritz-Arndt-Universität Greifswald）のアクロニム「EMAU」と、古代ギリシャ語で「トカゲ」を意味する「sauros（σαυρος）」を組み合わせたものです。種小名「ernsti」は、ホロタイプ標本を発見した地質学者ヴェルナー・エルンストへの献名です。

化石と特徴

エマウサウルスの化石は、唯一の頭骨が比較的良好な状態で保存されています。その他には、下顎の一部や部分的な体の化石、そして装甲が発見されています。発見された装甲には、円錐形の鱗板が3つと、長い棘状の構造が1つ含まれています。これらの装甲は、捕食者から身を守るためのものだったと考えられています。

ホロタイプの個体は体長約2メートルと推定されています。しかし、この個体は幼体であり、成体になると体長4メートルほどに成長したと考えられています。比較的小柄な恐竜であり、おそらく四足歩行で低い位置にある植物を食べていたと推測されています。

系統

分岐学的解析の結果、エマウサウルスは装盾類に分類され、スクテロサウルスよりも派生的であり、スケリドサウルスよりも基盤的な位置にいることが示されています。これは、エマウサウルスが装盾類の進化において、比較的初期の段階に位置する恐竜であることを示唆しています。

エマウサウルスの発見は、装盾類の初期の進化や地理的な分布を理解する上で非常に重要です。今後の研究によって、エマウサウルスの生態や装盾類における位置づけがさらに明らかになることが期待されています。

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