スクテロサウルス

スクテロサウルス (Scutellosaurus)

スクテロサウルスは、「小さな楯の爬虫類」を意味する学名を持つ、ジュラ紀前期に生息していた植物食恐竜の一属です。鳥盤類の中でも最も初期のグループに属し、その化石はアメリカのアリゾナ州、ナバホ・ネイションでのみ発見されています。

概要

全長は約1.2メートル。全身は多数の小さな骨板で覆われており、この特徴から、剣竜下目や曲竜下目といった装盾亜目に分化する以前の祖先的な形態を持つと考えられています。歯は木の葉のような形状で、縁には鋸のようなギザギザがあります。背中には300列以上もの骨質の突起が並んでいました。

四肢は比較的細く、前肢は後肢に比べてやや長めです。また、尾も長く、これは二足歩行から四足歩行へと移行する過程の名残であると推測されています。普段は四足歩行で移動し、捕食者から逃げる際などには、長い尾を装甲のバランスを取りながら二足歩行をしていたのかもしれません。

分類

アリゾナ州ナバホ・ネイションで発見された豊富な化石の分析により、スクテロサウルスは装盾類の中で最も初期に分岐したグループに位置づけられています。また、同じ研究で、レソトサウルスが基盤的な新鳥盤類であることも明らかにされました。

スクテロサウルスの発見は、装盾類の進化の初期段階を理解する上で非常に重要な意味を持っています。その独特な形態は、後の剣竜や曲竜が持つ装甲の起源を探る手がかりとなるでしょう。

参考文献

エドウィン・ハリス・コルバート、マイケル・モラレス、イーライ・C・ミンコフ『脊椎動物の進化』田隅本生（訳）、築地書館、2004年。ISBN 4-8067-1295-7。
ヘーゼル・リチャードソン、ディビッド・ノーマン（監修）『恐竜博物図鑑』出田興生（訳）、新樹社〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005年。ISBN 4-7875-8534-7。

関連項目

スケリドサウルス - 近縁の属。
恐竜の一覧
* 絶滅した動物一覧

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