エマス国立公園

エマス国立公園

エマス国立公園（Parque Nacional das Emas）は、ブラジル中西部のゴイアス州に広がる広大な自然保護区で、2001年にはユネスコの世界遺産に登録されました。公園の登録名は「セラード保護地域:ヴェアデイロス平原国立公園とエマス国立公園」となっており、ブラジルにおけるセラードの重要な生態系を保護する役割を果たしています。ここでは、乾燥したサバンナ気候の中に、多様な環境が広がっています。

地理と気候

エマス国立公園は、南緯17度49分から18度28分、西経52度39分から53度10分にかけて存在し、総面積約10万ヘクタールに及ぶセラードの生態系を包含しています。湿潤熱帯性気候で、夏は湿度が高く、冬は乾燥した特徴があります。年間降水量は1200～2000ミリメートルで、主に10月から3月にかけて降水が集中し、平均気温は約24.6℃です。

この地域の厳しい気候条件によって植物相は特殊であり、生育可能な植物は非常に限られています。主にイネ科の草が生育し、小さな灌木も見られる一方、シロアリの巣が点在するサバンナが広がっています。この巣は多くの動物たちにとって重要な生態系の一部です。

生物多様性

エマス国立公園は、多様な動植物の生息地として知られています。特に哺乳類の中では、オオアリクイやオオアルマジロ、ピューマ、タテガミオオカミなどの希少種が確認されています。また、アメリカ・レアのような特異な鳥類が観察される場所でもあります。

昆虫類においては、特に知られているのが夜間に光るシロアリ塚で、その光はコメツキムシ科の幼虫によるものです。これらはシロアリをおびき寄せて捕食するために発光しており、この地域の独自の生態を示しています。豊かな生物多様性がある一方で、長年の調査によって、元来の牧草地が農耕地に転換されることによる生物多様性の減少が指摘されています。

植物相

1998年から1999年にかけて行われた植物相調査では、80科303属の601種が記録され、草本と木本の比率は3.03:1という結果が得られています。キク科、マメ科、イネ科などが特に豊富であり、これらの科だけで全種のおよそ48％を占めています。この調査の結果として、新しい植物種「Piriqueta emasensis」も発見されています。

世界遺産登録の意義

エマス国立公園は、地球上の生態系の進化と発展において、重要な役割を果たしていることが評価され、世界遺産として登録されました。この公園は、生物多様性の保存に不可欠な自然生息地を含むことから、世界的に見ても非常に価値の高い地域とされています。

結論

エマス国立公園はその多様な自然環境と豊かな生物相によって、ブラジルの中でも特に重要な国立公園の一つです。美しい風景と独特の生態系は、多くの研究者や訪問者にとって魅力的なスポットとなっています。エコツーリズムの推進や保護活動を通じて、将来的にこの貴重な資源を守っていくことが求められています。

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