エマニュエル・クリヴィヌ

エマニュエル・クリヴィヌ（Emmanuel Krivine, 1947年5月7日 - ）は、フランス出身の著名な指揮者です。彼の音楽人生は、ヴァイオリンの才能が開花した幼少期から始まりました。

生い立ちと音楽の道

クリヴィヌはグルノーブルで生まれ、両親はユダヤ系のロシア人とポーランド人でした。幼い頃からヴァイオリンを始め、13歳で名門パリ音楽院に入学。16歳という若さでプルミエ・プリを獲得しました。その後、ベルギーのエリザベート王妃音楽院へ留学し、ヘンリク・シェリングやユーディ・メニューインといった巨匠から薫陶を受けました。パガニーニ国際コンクールをはじめ、数々のコンクールで入賞を果たし、ソリストとしてのキャリアをスタートさせます。ゲオルク・ショルティ指揮のパリ管弦楽団との共演や、クリスチャン・イヴァルディとのデュオでのリサイタル、録音など、ヴァイオリニストとして目覚ましい活躍を見せました。

指揮者への転身

ヴァイオリニストとして活躍する傍ら、1965年にザルツブルクでカール・ベームと出会ったことがきっかけとなり、以前から抱いていた指揮への興味を深めていきます。1976年から1983年まで、フランス放送新フィルハーモニー管弦楽団（現フランス放送フィルハーモニー管弦楽団）の首席客演指揮者として経験を積みました。しばらくはヴァイオリニストと指揮者を兼業していましたが、1981年に交通事故で怪我を負い、ヴァイオリニストとしての活動を断念せざるを得なくなりました。

オーケストラの音楽監督として

1981年から1983年までロレーヌ・フィルハーモニー管弦楽団（現ロレーヌ国立管弦楽団）の音楽監督を務めた後、1983年にはリヨン国立管弦楽団の首席客演指揮者に指名され、1987年には音楽監督に就任。クリヴィヌは音楽監督として、楽団の技術向上のために大胆な改革を断行しました。その手腕によって楽団のレベルは飛躍的に向上し、DENONレーベルへの録音などを通じて、クリヴィヌ自身の名声も高まりました。2000年まで同ポストを維持し、リヨン国立管弦楽団を名門オーケストラへと押し上げました。また、1984年以降は、フランス・ユース管弦楽団に音楽監督として度々登場し、若手音楽家の育成にも貢献しました。

古楽器オーケストラの創設と近年の活動

2004年には、古楽器オーケストラであるラ・シャンブル・フィラルモニークを創設し、演奏活動や録音を通じて注目を集めました。2006年から2015年までルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めたほか、2013年にはカタルーニャ国立バルセロナ交響楽団の、2015年にはスコットランド室内管弦楽団の、それぞれ首席客演指揮者に任命されました。2017年から2020年までフランス国立管弦楽団の音楽監督を務め、フランス音楽界に多大な貢献をしました。

エマニュエル・クリヴィヌは、その卓越した音楽性とリーダーシップによって、数々のオーケストラを成功に導いてきた、現代を代表する指揮者の一人です。

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