エマルシェ

株式会社エマルシェとさくら野百貨店仙台店の終焉

株式会社エマルシェは、宮城県仙台市に本社を置き、かつてさくら野百貨店仙台店を運営していた企業です。その歴史は、複数の百貨店が連携し、変遷を経て独立するまでの複雑な道のりを辿ります。しかし、東日本大震災の影響や仙台駅周辺の再開発によるテナントの撤退が重なり、2017年に倒産という結末を迎えました。

百貨店連合の誕生とマイカルとの連携

1978年、丸光（仙台市）などの地方百貨店5社がニチイの支援を受けて百貨店連合を設立したのが始まりです。その後、経営統合や業務提携を経て、1991年には店名をビブレに変更。1998年にはダックビブレに社名を変更しました。しかし、親会社であるマイカルが2001年に経営破綻した影響を受け、ダックビブレも民事再生法の適用を申請し、事実上経営破綻しました。

「さくら野百貨店」への改名と再出発

企業再建ファンドの設立や地元企業からの出資により、マイカルグループから独立。2002年、一般公募によって選ばれた「さくら野百貨店」に社名と店名を変更し、新たなスタートを切りました。

仙台店の特殊性と苦境

しかし、再スタート後も売上は低迷し、高島屋との業務提携や店舗改装などを実施しましたが、経営状況は好転しませんでした。2005年には、会社を3分割し、仙台店は2代目さくら野百貨店（現エマルシェ）が運営することになりました。その後も改革を進めましたが、業績不振は続き、2010年には経営再統合を断念し、独立の道を選びました。

エマルシェの終焉

2011年の東日本大震災の影響で資金繰りが悪化。仙台駅周辺の再開発によるテナントの撤退も重なり、経営はさらに悪化しました。2017年2月27日、エマルシェは仙台地方裁判所に破産を申請し、倒産しました。仙台店は同日をもって閉店し、約120人の従業員は解雇されました。

社名の由来

「エマルシェ」という社名は、笑顔の「え」とフランス語で市場を意味する「マルシェ」を組み合わせた造語です。地域の人々と暮らしに「笑顔」を創造するベストパートナーでありたいという願いが込められていました。

さくら野百貨店仙台店の歴史

さくら野百貨店仙台店の前身は、1946年に丸光合名会社として開業した雑貨店です。1953年に百貨店としての営業を開始し、増築を重ねて仙台最大の売場面積を誇る百貨店となりました。しかし、1982年に丸光と小美屋が合併し、その後も経営母体や店名が変遷しました。2017年、運営会社であるエマルシェの倒産により、その歴史に幕を閉じました。

建物とミュージックサイレン

店舗は複数の建物で構成されており、その複雑な構造が解体を困難にしています。丸光時代には、屋上に設置されたミュージックサイレンで「荒城の月」などのメロディーが流れていました。これは仙台の風物詩として親しまれていましたが、老朽化により1987年に廃止されました。

CMソング

1972年には、伊藤三礼子と藤島新のデュエットによるCMソング『愛のある街』が制作され、長年親しまれました。

関連会社

会社分割によって誕生したさくら野百貨店（3代目）は、エマルシェとは資本関係を解消しましたが、商品供給などの面で協力関係にありました。

株式会社エマルシェとさくら野百貨店仙台店は、時代の変化とともに様々な困難に直面し、最終的に倒産という形で終焉を迎えました。しかし、その歴史は仙台の街に深く刻まれ、多くの人々の記憶に残っています。

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