丸光

株式会社丸光：東北の百貨店、その興亡の歴史

株式会社丸光は、かつて宮城県仙台市を中心に、福島県、岩手県、青森県にも店舗を展開していた日本の百貨店です。現在のさくら野百貨店のルーツの一つとして知られています。

創業と成長

1946年（昭和21年）6月1日、福島県出身の佐々木光男氏が、仙台駅前の焼け跡に雑貨店「丸光合名会社」を創業したのが始まりです。「MARUMITU DEPT. STORE」の文字を掲げ、百貨店としての第一歩を踏み出しました。

1953年（昭和28年）には百貨店としての営業を開始。同年12月には東北初のミュージックサイレンを導入し、地域の人々に親しまれました。1965年（昭和40年）には、売場面積で地元の老舗百貨店や東京資本の百貨店を上回り、仙台最大の百貨店へと成長を遂げました。売上高でも上位を争い、仙台の百貨店業界で確固たる地位を築きました。

仙台店の拡張とともに、多店舗展開も積極的に進められました。1955年（昭和30年）に石巻店、1964年（昭和39年）に釜石店、1966年（昭和41年）に気仙沼店、1967年（昭和42年）に郡山店、1968年（昭和43年）に八戸店と、東北4県に6店舗を構える百貨店チェーンへと成長しました。

多角化の推進

丸光は百貨店事業だけでなく、多角化も積極的に進めました。1957年（昭和32年）には丸光食品センターを設立し、後のトーコーチェーンへと発展させました。また、同年には不動産会社「丸光株式会社」（後の第一ビル株式会社）を設立し、オフィス・商業ビル「第一ビル」を建設・運営するなど、事業領域を拡大しました。

競争激化と経営統合

1960年代以降、大手資本の進出により競争が激化しました。長崎屋、イトーヨーカ堂、ニチイ、ジャスコ、ダイエー、西友、丸井などの店舗が相次いで出店し、丸光は厳しい競争に晒されました。

こうした状況に対応するため、1978年（昭和53年）にニチイの支援を受け、カネ長武田百貨店、山田百貨店、イチムラ、小美屋と共に株式会社百貨店連合を設立し、経営の合理化を図りました。しかし、1980年（昭和55年）には郡山店を閉店し、撤退を余儀なくされました。

1982年（昭和57年）には小美屋と合併して株式会社丸光小美屋となり、企業としての丸光の歴史に一旦終止符が打たれました。同年9月には、株式会社百貨店連合が武田山田百貨店や丸光小美屋と合併し、社名から丸光の名が消えることとなりました。

釜石店は東北ニチイに引き継がれ、総合スーパーとして営業を続けましたが、2002年（平成14年）に閉店しました。

その後

1985年（昭和60年）には、百貨店連合から株式会社ダックシティに社名が変更され、店名もダックシティ丸光となりました。1990年（平成2年）にはマイカルビブレ事業本部と業務提携し、1991年（平成3年）に店名をビブレに変更。店名から丸光の名が消え、その歴史に幕を下ろしました。

丸光の流れを汲む百貨店は、その後も変遷を重ねました。ダックビブレ、さくら野百貨店、エマルシェと名前を変えながら、そのDNAは受け継がれています。

年表

1946年（昭和21年）：丸光合名会社として創業
1953年（昭和28年）：百貨店として営業開始
1955年（昭和30年）：石巻店開店
1964年（昭和39年）：釜石店開店
1966年（昭和41年）：気仙沼店開店
1967年（昭和42年）：郡山店開店
1968年（昭和43年）：八戸店開店
1978年（昭和53年）：百貨店連合設立
1980年（昭和55年）：郡山店閉店
1982年（昭和57年）：丸光小美屋へ合併
1991年（平成3年）：仙台ビブレへ店名変更

店舗（閉店済）

石巻店
釜石店
気仙沼店
郡山店
八戸店
仙台店

関連会社

丸光メンテナンス

株式会社丸光は、激しい競争の中で多角化を進め、東北地方の百貨店業界を牽引した存在でした。その歴史は、さくら野百貨店などの形で今も受け継がれています。

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