エミュー

エミューの特徴と生活

エミュー（雄名: Dromaius novaehollandiae）は、飛ぶことができない大型の鳥です。この鳥はオーストラリア大陸全域に生息し、特に草原や砂地などの開けた土地を好みます。近年では観賞用や食用として、日本を含む他の国にも移入されています。特にその肉は美味と評判で、アボリジニの先住民たちによって古くから利用されてきました。

形態

エミューは、体高が約1.6メートルから2.0メートル、体重は40キログラムから60キログラム程度に達します。見た目はダチョウに似ていますが、少しがっしりとした体型をしています。特に頸部から頭にかけては長い羽毛が特徴的です。また、足の指は3本で、その先には丈夫な爪があります。幼鳥は縞模様の羽毛を持っていますが、成長と共にその模様は消え、成鳥の羽は主に灰褐色になります。

翼は非常に小さく、外から見るとほとんど見えません。これは同じくダチョウやヒクイドリ類と比較しても、エミューが最も退化した形とされています。卵はアボカドくらいの深緑色で、約10センチメートルの長さと約550グラムから600グラムの重さがあります。

分類

エミューはいくつかの亜種に分類されています。オーストラリア本土に生息するDromaius novaehollandiae novaehollandiaeをはじめ、絶滅した数種も存在しています。特にカンガルー島やタスマニア島の亜種は、すでに絶滅したことが確認されています。

生態

エミューは比較的温厚な性格を持っており、ヒトに対しては友好的ですが、雷や金属音などに敏感に反応し走り回ることがあります。犬などの動物には警戒心が強く、時には蹴りで攻撃することもあるため、その行動には注意が必要です。繁殖時期になると、オスとメスの鳴き声が異なり、オスは低い「ウォー」という鳴き声、メスは「ボン……ボボン」といったドラムのような鳴き声を発します。

食事は雑食性で、昆虫や果実、種子などを食べます。産卵の時期は11月から4月で、一度に1個ずつ、10個から30個程度を産みます。抱卵はオスが行い、約2ヶ月間続きます。孵化後はオスが雛を守る役目を果たしますが、時にはメスも協力します。特に天敵としては、ディンゴやイリエワニが挙げられますが、エミューも自衛手段として攻撃する能力を持っています。

人間との関係

オーストラリアにおいて、2016年時点ではエミューの生息数は安定しているとされますが、農地を荒らす害鳥として駆除されることもあります。肉は赤身で美味とされ、先住民アボリジニにとっては重要な食材でした。近年では、メガソーラー発電所で雑草対策として飼育された事例もあり、農業との関係が強化されています。

日本でも、飼いやすさから多くの動物園で飼育されています。特に北海道などでは、研究や商品開発が進められています。エミューの卵を使ったどら焼きや肉の加工品、さらには保湿オイルなど様々な製品が市場に出回っています。

2022年には、一部の飼育場で高病原性鳥インフルエンザが確認され、殺処分が行われるなど、注意が必要な一面もありますが、全体としてエミューは人々にとって興味深い存在であり続けています。

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