害鳥

害鳥とは

害鳥とは、人間の生活、農林水産業、財産などに悪影響を与える鳥類のことを指します。一方で、益鳥と呼ばれる、人間にとって有益な役割を果たす鳥も存在します。しかし、近年の環境破壊や都市化により、鳥類の生態系が変化し、特定の種が過剰に繁殖し、害鳥としての側面が問題視されています。

害鳥による具体的な被害

害鳥による被害は多岐にわたります。

農林水産業への被害

農作物の食害: カラス、スズメ、ヒヨドリなどの鳥類は、田畑や果樹園で、収穫前の穀物や果実を食い荒らします。これにより、農産物の品質低下や収穫量の減少を招き、農家へ経済的な損失を与えます。
養殖業への被害: カワウやサギなどの魚食性の鳥類は、養魚場で飼育されている魚を捕食します。これにより、養殖業者は大きな損害を被ることがあります。ただし、海鳥の場合は、漁獲物を狙うものの、漁業全体への影響は限定的です。

財産への被害

糞による汚染: 鳥の糞は、建物や洗濯物を汚染し、金属を腐食させる原因にもなります。また、土壌汚染を引き起こす可能性もあります。
ゴミの散乱: カラスは、ゴミ捨て場の生ゴミを荒らし、周辺環境を悪化させます。
珍しい事例: アメリカでは、キツツキがスペースシャトルの断熱材に穴を開け、打ち上げが延期された事例もあります。

家畜や人間への被害

小動物への襲撃: 大型の鳥類は、小動物を襲うことがあります。
家畜や家禽への被害: 猛禽類は、家畜や家禽を襲い、農家へ被害を与えます。
人間への攻撃: 人慣れしたトビやウミネコは、人の持つ餌を狙うことがあります。また、繁殖期のカラスは、巣を守るために人間を攻撃することがあります。
感染症の媒介: 渡り鳥は、鳥インフルエンザなどの病原体を運んでくることがあります。
騒音問題: ムクドリやスズメなどの集団就寝する鳥は、早朝に大きな鳴き声で騒音問題を引き起こします。

環境全般への被害

集団営巣による環境破壊: アオサギやカワウなどの集団営巣する鳥は、大量の糞をすることで、営巣地の樹木を枯らし、環境を荒廃させます。ただし、鳥糞は過去に肥料として利用されたり、グアノとして化学肥料の原料になるなど、資源としての側面もあります。

害鳥対策

鳥類は鳥獣保護法で保護されているため、許可なく殺傷することは禁止されています。そのため、害鳥対策は、追い払いや防除が中心となります。具体的な対策としては、以下のようなものがあります。

視覚的対策: かかし、防鳥網、磁石、反射材などを使用し、鳥を近づけないようにします。
聴覚的対策: 爆音器、ロケット花火などを使用し、鳥を驚かせて追い払います。
物理的対策: 防鳥ネットやスパイクなどを設置し、鳥の侵入を防ぎます。
給餌の中止: 人間が鳥に餌を与える行為は、鳥の個体数を増加させ、被害を拡大させる原因となります。給餌行為は自粛すべきです。

駆除

どうしても駆除が必要な場合は、事前に都道府県または市町村から鳥獣捕獲許可を得る必要があります。許可を得るには、捕獲の目的、種類、羽数、方法、場所などが審査されます。そのため、速やかな駆除は難しく、許可が不要な追い払いや防除が中心となります。

害鳥問題の複雑さ

害鳥問題は、単に鳥を駆除すれば解決するものではありません。鳥類には特定のファンが存在することも多く、駆除が容易に進まない場合もあります。また、都市部ではハトに餌を与える人が多く見られ、それがハトの過剰繁殖を招き、糞害を深刻化させているという側面もあります。

害鳥問題と共存

害鳥問題は、人間と鳥類の共存を考える上で重要な課題です。鳥類の生態系や行動を理解し、適切な対策を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。また、人間が鳥に餌を与える行為は、鳥の生態系を歪め、被害を拡大させる可能性があるため、自粛する必要があります。

主な害鳥の種類

カラス: 農作物、生活環境被害
スズメ: 農作物、生活環境被害
ハト: 農作物、生活環境被害、糞害
ムクドリ: 農作物、生活環境被害
ヒヨドリ: 農作物被害
カワウ: 漁業被害
サギ: 漁業、生活環境被害
ガビチョウ: 騒音、生態系被害
ソウシチョウ: 騒音、生態系被害
コジュケイ: 騒音

関連項目

食害
害獣/害虫
鳥追い（鐘・拍子木・弦楽器）/鳥威し
鳥獣管理士
餌付け
バードストライク
Meniskos

害鳥問題は、私たち人間が環境とどのように向き合うかを問うものです。鳥類との共存を目指し、持続可能な社会を築くために、一人ひとりができることを考え、行動していくことが求められています。

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