エミーリエ・フォン・ヘッセン＝カッセル

エミーリエ・フォン・ヘッセン＝カッセル：信仰を貫いた公女の生涯

エミーリエ・フォン・ヘッセン＝カッセル（1626年 - 1693年）は、ヘッセン＝カッセル方伯ヴィルヘルム5世の娘として生まれました。兄姉が早世したため、実質的に長女として育ちました。

フランスへの嫁入り

1648年、エミーリエはフランスのユグノー貴族、ターラント公アンリ2世・ド・ラ・トレモイユと結婚しました。夫はヘッセン方伯軍に仕える将軍であり、夫妻はオラニエ公ウィレム1世の曾孫という親戚関係にもありました。この結婚を機に、カッセルの宮廷にはフランスの文化やファッションが流入しました。エミーリエは夫と共にオランダ、そしてフランスへと移り住みます。

宮廷生活と信仰

エミーリエの侍女であったエレオノール・デミエ・ドルブリューズは、後にリューネブルク侯ゲオルク・ヴィルヘルムに見初められ結婚しました。1672年に夫と死別した後、エミーリエは夏はヴェルサイユ宮廷、冬はブルターニュ地方の所領で過ごしました。セヴィニエ夫人との親交を深め、姪であるオルレアン公爵夫人リーゼロッテとも親しく交流しました。

ユグノー迫害と帰国

1685年、ルイ14世がフォンテーヌブローの勅令を発布し、ユグノーへの迫害が始まりました。プロテスタントであったエミーリエはドイツへの帰国を決意します。王はカトリックへの改宗を条件に年金の支給を提示しましたが、エミーリエは拒否。家族や親族からの説得にも応じず、わずかな家臣を連れてフランスを脱出しました。ブランデンブルク大使の支援を受け、多くのユグノー亡命者と共に国外へ脱出しました。

晩年と遺産

フランクフルト・アム・マインを終の棲家としたエミーリエは、残された資金をヴァルド派難民の救済に捧げました。1693年、67歳で水痘により亡くなり、遺体は故郷のカッセルへ移送されました。

子女

エミーリエは夫との間に5人の子供をもうけました。

シャルロット＝アメリー（1652年 - 1732年） - アントン1世・フォン・アルデンブルク伯爵と結婚
シャルル・ベルジーク・オランド（1655年 - 1709年） - トゥアール公
フレデリック＝ギヨーム（1658年 - 1738年） - タルモン公
アンリエット＝セレスト（1662年生、夭折、双子）
* マリー＝シルヴィー（1662年 - 1692年、双子）

エミーリエ・フォン・ヘッセン＝カッセルは、激動の時代において信仰を貫き、慈善活動に尽力した女性でした。その生涯は、困難な状況でも信念を曲げずに生きることの大切さを教えてくれます。

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