エリグロアジサシ

エリグロアジサシ（襟黒鯵刺）

エリグロアジサシ（学名: Sterna sumatrana）は、チドリ目カモメ科（アジサシ科とする説もあり）に分類される鳥類で、アジサシ属の一種です。その美しい姿と生態は、多くの人々を魅了しています。

分布

エリグロアジサシは、インド洋、太平洋南西部、東南アジアの島々、オーストラリア北部にかけて広く分布しており、これらの地域で繁殖します。非繁殖期には、周辺の海域に分散して生活しています。日本では、夏季に奄美大島以南の南西諸島に繁殖のため飛来する夏鳥として知られています。まれに、日本本土でも迷行した個体が記録されることがあります。

形態

エリグロアジサシは、全長約30cmで、全身が白い羽毛で覆われています。特徴的なのは、嘴の基部から眼を通り後頭部へと続く黒い筋模様（過眼線）です。左右の過眼線は後頭部で繋がっており、これが「襟黒」の名前の由来となっています。嘴と後肢は黒色をしています。

生態

エリグロアジサシは、熱帯や亜熱帯の海洋に生息し、主に魚類や甲殻類などの動物を捕食します。海面近くを飛びながら嘴で獲物を捕らえることが多いですが、ホバリングしながら空中から急降下して獲物を捕食することもあります。繁殖期には、大規模ではないものの集団繁殖地（コロニー）を形成し、海辺の岩礁や珊瑚礁に巣を作ります。日本では、5月から9月にかけて1回に1〜2個の卵を産み、雌雄交代で抱卵します。抱卵期間は約24日で、雛は約28日後に巣立ちます。

エリグロアジサシの鳴き声は「グィ　グィ」と聞こえます。

保全状況

エリグロアジサシは、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類（VU）に指定されており、保護が必要な種とされています。生息地の環境破壊や海洋汚染などが、その生存を脅かす要因となっています。

参考文献

『原色ワイド図鑑4　鳥』、学習研究社、1984年、78頁。
黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科8　鳥II』、平凡社、1986年、157-158頁。
『小学館の図鑑NEO　鳥』、小学館、2002年、63頁。
『日本の鳥　550　水辺の鳥』、文一総合出版
真木広造他　『日本の野鳥590』　平凡社

外部リンク

2007 IUCN Red List of Threatened Species
BirdLife International 2004. Sterna sumatrana
環境省 自然環境局 生物多様性センター
* 絶滅危惧種情報（動物）- エリグロアジサシ

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