エリサベト

エリサベト（ヘブライ語: אֱלִישֶׁבַע / אֱלִישָׁבַע‎、ギリシア語: Ἐλισάβετ、ラテン語: Elisabeth、英語: Elizabeth, Elisabeth、ドイツ語: Elisabet, Elisabeth、ロシア語: Елисавета）は、新約聖書に登場する重要な人物であり、洗礼者ヨハネの母として知られています。その名前はヘブライ語のエリシェバ（Elišévaʿ）に由来し、ギリシア語を経て、エリザベス、エリザベート、エリーザベトといった様々な形でキリスト教圏で広く用いられる女性名の源流となりました。

エリシェバという名前は、「エリ」がヘブライ語で「わが神」を意味し、「シェバ」が「誓い」や「維持」を意味することから、「わが神はわが誓い」または「わが神はわが支え」という意味を持ちます。この名前が示すように、エリサベトは神への忠誠と信仰に生きた女性でした。

聖書におけるエリサベトの表記は、翻訳によっていくつかの異なりが見られます。新共同訳聖書ではエリサベトと表記されますが、文語訳、口語訳、新改訳ではエリサベツ、正教会訳ではエリザヴェタと表記されています。これらの違いは、各翻訳が依拠する原典や翻訳方針の違いによるものです。

生涯

エリサベトは祭司ザカリアの妻であり、夫婦ともに律法を忠実に守る敬虔な生活を送っていました。しかし、結婚してから長い間、子供に恵まれませんでした。高齢になって初めて、神の恵みによって妊娠し、ヨハネを産むことになります。この出来事は、不妊であったエリサベトにとって、神の奇跡的な介入と深い信仰の証となりました。

また、エリサベトはイエスの母マリアと親類関係にあり、マリアが受胎告知を受けた後、エリサベトを訪問する場面が描かれています。この「聖母の訪問」の際、エリサベトは聖霊に満たされ、マリアを祝福する言葉を述べました。その言葉は「あなたは女のうちで祝福され、ご胎内の御子イエスも祝福されています」というもので、後に『アヴェ・マリアの祈り』の一部に取り入れられました。この出来事は、エリサベトが聖霊によって神の計画を理解し、信仰をもってそれを受け入れたことを示しています。

エリサベトの生涯は、神への深い信仰と、神の計画に対する献身の模範として、多くの人々に影響を与えています。彼女は不妊という困難を乗り越え、神の恵みによって子を授かり、その子が後に救世主の道を備えるという重要な役割を果たすことになりました。

参考文献

「新聖書辞典」 いのちのことば社、1985年

関連項目

エリザベト訪問

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