エルチェ

エルチェの概要

エルチェは、スペイン・バレンシア州アリカンテ県に位置する自治体で、バレンシア語では「エルシュ」と呼ばれています。この都市は約228,675人が住んでおり、バレンシア州で第3位の人口を誇る地域です。エルチェは地中海にも近く、中心市街地は内陸約11kmに位置しています。北東には県都アリカンテがあり、両都市は相互に密接に結びついていることから、事実上の都市圏を形成しています。

地理

この地域は南北に流れるビナロポ川によって中心市街地が二分されています。また、エルチェ市立公園の隣には、文化財として1961年に指定されたアルタミラ城があります。この城はイスラーム時代の12世紀から13世紀に建設され、その後15世紀に外壁が追加された歴史を持っています。1913年からは織布工場として利用され、時折市庁舎や刑務所としても使用されていましたが、現在はエルチェ考古歴史博物館として利用されています。

気候

エルチェは亜熱帯のステップ気候に属し、ケッペンの気候区分ではBShに分類されます。このため、年間を通して温暖な気候が特徴で、観光客にとっても訪れやすい地域です。

歴史

エルチェの歴史は非常に豊かで、数多くの考古学的遺物が見つかっており、特に「エルチェの貴婦人」として知られる石像は紀元前4世紀に作られたとされています。この貴婦人像のオリジナルは、マドリードの国立考古学博物館に展示されていますが、エルチェには精密なレプリカがあります。

さらに、エルチェの起源は、現在の都市から10km離れた「ラ・アルクディア」という遺跡にあります。この遺跡は、イベリア人によって築かれ、のちにカルタゴやローマに支配されました。ローマ帝国による支配の際に「イリキ」（Ilici）という名前が与えられ、この都市は植民都市として栄えました。

その後、ビザンティンによる支配や西ゴート王国の時代を経て、イスラームの侵攻を受け重要性が低下しますが、1264年にキリスト教徒により征服されました。18世紀には都市が成長し、19世紀には鉄道が敷かれたことでさらなる発展を遂げました。スペイン内戦以降、都市は復興を果たし、20世紀の大部分では靴製造業が主要産業でしたが、1990年代以降の安価な製品との競争で産業は苦況に入ります。

経済

エルチェは特に靴製造業の中心地とされ、1,000以上の靴工場が存在し、プーラロペスやパナマ・ジャックといった女性用高級靴のブランドが本社を構えています。農業も行われていますが、近年その重要性は低下しています。

その他、ゴム製造業や貿易業、観光業も重要な産業であり、地域の経済を支えています。エルチェ市の中心から300mの地点にはエルチェ市会議場があり、またアリカンテ＝エルチェ空港も近隣に位置しており、交通の便が良いです。

文化・スポーツ

エルチェでは多くの文化遺産があり、特に「エルチェの椰子園」は2000年にユネスコの世界遺産に登録されました。この地域には約11万本ものヤシの木があり、その景観も観光名所の一つです。また、エルチェでは聖母の被昇天を題材とした神秘劇が伝統的に上演されています。

サッカークラブのエルチェCFもこの都市の代表的存在であり、長い歴史の中で何度もリーグでの優勝を果たしています。

まとめ

エルチェはその豊かな歴史と文化、産業的背景、そして観光名所が魅力的な地域であり、訪れる人々に独特の体験を提供しています。そのため、今後も多くの人々がエルチェを訪れ、その魅力に触れることが期待されます。

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