エルベール2世 (ヴェルマンドワ伯)

エルベール2世について

エルベール2世（Herbert II de Vermandois、880年ごろ - 943年2月23日）は、フランスのヴェルマンドワ伯、モー伯、ソワソン伯でした。彼はシャンパーニュ地方の初代領主として、その地の実権を握った人物です。エルベール2世は、カール大帝の子孫であり、彼の父親はヴェルマンドワ伯エルベール1世でした。

生涯の幕開け

907年、彼は父の地位を継承し、ソワソンのサン＝メダール修道院の権益を手に入れました。在俗修道院長としての活動を始め、修道院からの収入によって自らの地位を強化しました。彼はまた、西フランス王国のロベール1世の娘と結婚することにより、モー伯領の領有権を得ました。

905年から913年の間、彼は教会との関係を築き、大司教職の選任にも影響力を持ちました。922年、大司教スールフは自らの後継者選びをエルベール2世に委ねる約束をし、913年、エルベールは西フランク王シャルル3世を捕虜にするという大胆な行動に出ます。この捕虜は929年に死亡し、その状況はエルベールの政治的な立場に影響を与えました。

領土の変遷

925年、スールフが死去し、王ラウールの支持を受けて、エルベールはまだ幼い息子ユーグをランス大司教に指名しました。この選出は教皇の承認を経て進められました。926年にはラン伯ロジェ1世が死去し、エルベールは長男にラン伯領を要求しましたが、ラウール王は抵抗を示しました。しかし、エルベールはその後ランを獲得し、929年には再びシャルル3世が死去した後、931年にラウール王に敗北し、様々な地域を失うことになります。

その後の戦いと同盟が続き、エルベールは後に西フランク王ルイ4世に対抗するためにユーグ大公とノルマンディー公ギヨーム1世と連携を図りました。941年、王ルイ4世はラン領をロジェ2世に与えるなどの動きを見せますが、エルベールはユーグと連携してこの地を再度自らのものとし、息子ユーグが再び大司教に任命される結果となりました。

死去とその後

943年2月23日、エルベールはヴェルマンドワ伯領の首都サン＝カンタンで息を引き取りました。彼の広大な領土は息子たちに分け合われ、長男ウードとアルベール1世はヴェルマンドワとアミアンを、ロベールとエルベール3世はシャンパーニュ地方の土地を受け継ぎました。しかし、彼の男系はエルベール4世の息子エティエンヌの死去により断絶してしまいました。

子女について

エルベールは907年以前にロベール1世の娘アデルと結婚し、子女をもうけました。彼の子供たちには、アミアン伯ウード、フランドル伯アルヌール1世と結婚したアデル、ヴェルマンドワ伯アルベール1世、オモワ伯のエルベール3世、モー伯ロベール、大司教ユーグなどがいます。

このように、エルベール2世の生涯は、地域の支配権を巡る戦いや教会との連携が色濃く反映されており、彼の死後も影響を与える出来事が続きました。彼の名は今日でも、フランス歴史における重要な人物であることを教えてくれます。

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