エルンスト・アウグスト (ハノーファー選帝侯)

エルンスト・アウグスト：ハノーファー選帝侯、その生涯と影響

エルンスト・アウグスト（1629年11月20日 - 1698年1月23日）は、ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公の一員であり、カレンベルク侯として知られています。1692年には選帝侯となり、ハノーファー選帝侯と称されました。また、オスナブリュック司教（在位：1661年 - 1698年）でもありました。彼の生涯は、領土の拡大、権力の強化、そして後のイギリス王室との密接な関係構築に彩られています。

生い立ちと結婚

エルンスト・アウグストは、カレンベルク侯ゲオルクとヘッセン＝ダルムシュタット方伯ルートヴィヒ5世の娘アンナ・エレオノーレの間に生まれました。彼は、後のハノーファー選帝侯であり、グレートブリテン王ジョージ1世となるゲオルク・ルートヴィヒの父でもあります。

1658年、彼はプファルツ選帝侯フリードリヒ5世と妃エリザベスの娘ゾフィーと結婚しました。この結婚は、元々ゾフィーと婚約していた彼の次兄、リューネブルク侯ゲオルク・ヴィルヘルムから提案されたものでした。エルンスト・アウグストは、次兄が生涯独身を貫き、死後リューネブルク侯領を自分に譲るという条件でこれを受け入れました。しかし、1676年に次兄がフランス人女性と結婚したため、一時的に兄弟間の信頼が揺らぎましたが、相続協定を再確認することで事態は収束しました。

領土の拡大と権力基盤の強化

エルンスト・アウグストは、4番目の息子であったため、当初は公位を継ぐ可能性は低いと考えられていました。しかし、1661年にヴェストファーレン条約によってブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公がオスナブリュック司教を指名する権利を得たことで、彼は司教の座に就きました。また、仏蘭戦争では神聖ローマ皇帝レオポルト1世を支持し、フランス軍と戦いました。兄弟の相次ぐ死去により、1679年には父の遺領の一部であるカレンベルク侯領を相続しました。

彼は領地の分割を避けるため、1683年に長子相続制を導入し、息子のゲオルク・ルートヴィヒを後継者に指名しました。また、ハノーファーのライネ川沿いにライネ宮殿を拡張し、オペラ劇場の建設、ヘレンハウゼン宮殿と庭園の整備など、領地の文化的発展にも尽力しました。彼はレオポルト1世に従い、大同盟戦争やオスマン帝国との戦争にも参加しました。

選帝侯への昇格とその後

1692年、エルンスト・アウグストはレオポルト1世に選帝侯位を要求し、戦争での功績が認められて9番目の選帝侯に指名されました。これにより、彼の領土はハノーファー選帝侯領と呼ばれるようになりました。しかし、彼は帝国議会の承認を得る前に、1698年に68歳で亡くなりました。

イギリス王室との繋がり

エルンスト・アウグストの死後、1701年にイングランド及びスコットランドのアン女王に後継者が望めない状況となったため、彼の妃ゾフィーが1701年王位継承法により唯一の継承者となりました。彼の長男ゲオルク・ルートヴィヒはハノーファーを相続し、1705年にはリューネブルクも継承しました。1714年、ゾフィーがアン女王の崩御の2か月前に亡くなったため、ゲオルク・ルートヴィヒがジョージ1世としてイギリス王位を継承しました。

子女

エルンスト・アウグストとゾフィーの間には、7男1女が生まれました。ゾフィーはイギリス王位継承者となったため、エルンスト・アウグストとゾフィー夫妻は、全てのイギリス王位継承権保持者の最も近い共通祖先となっています。

ゲオルク・ルートヴィヒ（1660年 - 1727年） - ハノーファー選帝侯、後にグレートブリテン王
フリードリヒ・アウグスト（1661年 - 1690年） - 大トルコ戦争で戦死
マクシミリアン・ヴィルヘルム（1666年 - 1726年） - 神聖ローマ帝国元帥
ゾフィー・シャルロッテ（1668年 - 1705年） - ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ3世（後のプロイセン王フリードリヒ1世）と結婚
カール・フィリップ（1669年 - 1690年） - 大トルコ戦争で戦死
クリスティアン・ハインリヒ（1671年 - 1703年）
* エルンスト・アウグスト（1674年 - 1728年） - ヨーク・オールバニ公

エルンスト・アウグストの生涯は、領土の拡大、権力基盤の強化、そしてイギリス王室との繋がりを通じて、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えました。

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