エルンスト2世 (シュヴァーベン大公)

エルンスト2世：波乱に満ちたシュヴァーベン大公の生涯

エルンスト2世（Ernst II., 1010年頃 - 1030年8月17日）は、中世ドイツのシュヴァーベン大公でした。1015年から1030年までその地位にありましたが、その短い生涯は、権力闘争と反乱に彩られたものでした。

生い立ちと出自

エルンスト2世は、バーベンベルク家のエルンスト1世と、シュヴァーベン大公ヘルマン2世の娘ギーゼラの間に生まれました。父エルンスト1世は、オーストリア辺境伯レオポルト1世（ルイトポルト1世）の子であり、母ギーゼラはコンラディン家の血を引いていました。1012年、ヘルマン3世が後継者を残さずに亡くなると、エルンスト1世は国王ハインリヒ2世によってシュヴァーベン大公位を与えられました。

国王との対立

エルンスト1世の死後、母ギーゼラはザーリアー家のコンラート2世と再婚しました。1024年にコンラート2世が国王に選出されると、エルンスト2世は国王の義子という立場になりました。しかし、エルンスト2世は、国王選挙でコンラート2世に敗れたケルンテン公コンラート2世や、ヴェルフ家のレヒライン伯ヴェルフ2世らと共に、皇帝に対して反乱を企てます。

大公位剥奪と最期

エルンスト2世の反乱は、王国会議で問題視され、彼は追放刑を受け、シュヴァーベン大公位を剥奪されてしまいます。その後、大公位は弟のヘルマン4世が継承しました。1030年、エルンスト2世はファルケンシュタイン城近くで皇帝軍との戦いに臨みましたが、そこで戦死を遂げました。皇帝コンラート2世は、エルンスト2世の死の知らせを聞いた際、「こんなにかみついた子犬も稀だわなー」と言ったと伝えられています。

エルンスト2世は生涯独身であり、後継者はいませんでした。

エルンスト2世の生涯から得られる教訓

エルンスト2世の生涯は、中世の権力闘争の激しさと、それに翻弄される人々の姿を浮き彫りにしています。彼は、自身の出自と立場から、国王との対立という困難な道を選びましたが、その結果、若くして命を落とすこととなりました。彼の生涯は、権力と野心、そしてその代償について、私たちに深く考えさせるものがあります。

参考文献

成瀬治 他 編『世界歴史大系 ドイツ史 1』山川出版社、1997年
瀬原義生 『ドイツ中世前期の歴史像』 文理閣、2012年

関連項目

バーベンベルク家
シュヴァーベン大公

もう一度検索