エルヴァス

エルヴァス：国境の要衝、歴史と文化が息づく都市

エルヴァスは、ポルトガル・ポルタレグレ県に位置する都市です。首都リスボンから東へ約230km、スペインとの国境からわずか15kmという場所に位置し、その歴史的・戦略的重要性から、数々の文化遺産が残されています。

要塞都市としてのエルヴァス

エルヴァスは、グアディアナ川から8kmほど離れた丘の上に位置しています。7つの稜堡を持つ要塞都市であり、特にサンタ・ルジーア要塞とグラーサ要塞は重要な防御拠点でした。これらの要塞は、エルヴァスの戦略的な重要性を示しています。

エルヴァシュ城： ローマ時代の要塞跡に13世紀に建設され、レコンキスタ後に拡張されました。
サンタ・ルジーア要塞： エルヴァス南部に位置し、都市防衛の要でした。
* グラーサ要塞： エルヴァス北部に位置し、サンタ・ルジーア要塞とともに都市を防御しました。

多様な建築様式が共存する街

エルヴァスには、後期ゴシック、マヌエル様式、ルネサンス様式など、様々な時代の建築物が残っています。ノサ・セニョーラ・ダ・コンソラサオン教会は、16世紀に建設されたルネサンス建築の教会であり、その美しい姿は訪れる人々を魅了します。また、ノサ・セニョーラ・ダ・アスンサオン教会は、ゴシック建築からマヌエル様式に改築された教会であり、その変遷をたどることができます。

イベリア半島最長の水道橋：アモレイラの水道橋

アモレイラの水道橋は、全長約7キロメートルに及ぶイベリア半島最長の水道橋であり、エルヴァスの町に水を供給してきました。15世紀に建設が始まり、1622年に完成したこの水道橋は、当時の技術力の高さを示すとともに、エルヴァスの人々の生活を支えてきました。

歴史の舞台となったエルヴァス

エルヴァスは、ローマ時代にはAlpesaあるいはHelvasと呼ばれ、ムーア人時代にはBalesh、スペイン統治時代にはYelvesと呼ばれました。1166年にはアルフォンソ8世によってカスティーリャ王国の領土となり、その後、カスティーリャとポルトガルの間で領土争いが繰り広げられましたが、1226年にポルトガルの版図となりました。1570年には、監督教会派の司教座が置かれました。

エルヴァスは、その後もスペインとポルトガルの間で領土争いの舞台となり、1658年と1711年にはスペインの支配下に入ったこともあります。1801年のオレンジ戦争では、ナポレオン率いるフランスがポルトガルに侵攻した際、スペインがフランス側で参戦し、エルヴァス付近で摘み取られたオレンジが戦勝報告に添えられました。また、1808年のスペイン独立戦争では、ジャン＝アンドシュ・ジュノーの攻撃を受けました。

肥沃な土地と特産品

エルヴァス周辺は肥沃な土地であり、オリーブやプラムの生産で知られています。特にプラムは、生のまま、あるいは乾燥された状態で各地に輸出されています。また、エルヴァスではブランデーが蒸留され、陶磁器の生産も行われています。

エルヴァスは、その戦略的重要性と豊かな歴史、そして美しい文化遺産が魅力の都市です。ポルトガルを訪れる際には、ぜひエルヴァスにも足を運んでみてください。

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