エル・カミーノ・レアル

『エル・カミーノ・レアル』（El Camino Real - A Latin Fantasy）は、アメリカの作曲家アルフレッド・リードが手掛けた吹奏楽曲です。この作品は、ジョージア州ロビンズ空軍基地の第581空軍軍楽隊と指揮者のレイ・トウラー中佐からの委嘱を受け、1984年後半から1985年初頭にかけて作曲されました。そして、1985年4月15日にフロリダ州サラソータで初演されました。

日本では、1986年5月9日に大阪府音楽団の定期演奏会で初めて演奏されました。タイトルである「エル・カミーノ・レアル」はスペイン語で「王の道」を意味し、副題の「ラテン幻想曲」が示すように、スペインのフラメンコなどでギター奏者が頻繁に用いるコード進行が用いられています。この曲は、アメリカの国道101号線やカリフォルニア州の歴史的な街道「エル・カミーノ・レアル」など、様々な場所にある「王の道」からインスピレーションを得ており、作曲者のリードは、それらの道を国王の行列が通る情景を思い浮かべたと語っています。

演奏時間はおよそ10分で、楽譜はアメリカのE.B.マークス社から出版されました。日本では東亜音楽社からも出版されており、これにより日本国内でも広く演奏されるようになりました。

編成

この曲は、速い部分、遅い部分、速い部分という典型的な三部形式の演奏会用序曲スタイルで構成されています。スペインの民族舞曲であるホタを基にした速い部分と、ファンダンゴを基にした遅い部分から成り立っており、情熱的で華やかな雰囲気を醸し出しています。

編曲

『エル・カミーノ・レアル』は、吹奏楽だけでなく、様々な編成で演奏されています。

管弦楽版: 作曲者監修の下、指揮者のロバート・ライカーによって管弦楽に編曲されました。この管弦楽版は、2005年7月20日に愛知万博エキスポホールで、ライカーが音楽監督を務めるインド国立フィルハーモニックによって初演されました。また、作編曲家の中原達彦による管弦楽編曲版もあり、2009年12月18日にザ・シンフォニーホールで下野竜也指揮の大阪フィルハーモニー交響楽団によって演奏されました。
マンドリンオーケストラ版: 遠藤秀安と小穴雄一によってマンドリンオーケストラ用に編曲されています。遠藤版はARTE MANDOLINISTICAによって、小穴版は慶應義塾高校マンドリンクラブの委嘱で編曲されました。
エレクトーン版: 坂井知寿によって、ストリングスサウンドを含むオーケストラ風のエレクトーン編曲がヤマハミュージックメディアから出版されています。

参考文献

この曲に関する詳しい情報やアルフレッド・リードの生涯については、以下の書籍で詳しく解説されています。
アルフレッド・リード 著、村上泰裕 訳『アルフレッド・リードの世界 - その人と作品77曲の全解説』佼成出版社、1996年。ISBN 4-333-01813-7
* シエナ・ウインド・オーケストラ：コラム「アルフレッド・リードの伝説」

『エル・カミーノ・レアル』は、吹奏楽のレパートリーとしてだけでなく、様々な編成で演奏されることで、その魅力がより広く知られるようになり、世界中で愛される作品となっています。

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