エレオノラ・ロッシ＝ドラゴ

エレオノラ・ロッシ＝ドラゴ（Eleonora Rossi Drago）は、1925年9月23日にイタリアの港湾都市ジェノヴァに生を受けた女優です。

1950年代から1970年代にかけて、イタリア映画界を中心に精力的に活動し、その知的な美貌と確かな演技力で観客を魅了しました。彼女のキャリアは、1949年の作品『地中海の虎』（I pirati di Capri）から始まりました。

初期の代表作としては、1953年の戦記物『人間魚雷』（I sette dell'Orsa maggiore）や、1954年に公開されたオムニバス形式の『戦争と女』（Destinées）などがあります。中でも、1954年の『埋れた青春』（L'Affaire Maurizius）は、日本でも高く評価され、同年のキネマ旬報ベストテンで第4位に選出されるなど、国際的な注目を集めた作品です。

1955年には、後にイタリア映画界の巨匠となるミケランジェロ・アントニオーニ監督の『女ともだち』（Le amiche）に出演。また、同年の大作『ナポレオン』（Napoléon）にも顔を見せています。これらの作品への出演は、彼女が当時のイタリア映画界において重要な女優の一人であったことを示しています。

1950年代後半も彼女の勢いは衰えず、1956年には『出撃命令』（Il prezzo della gloria）、1959年にはジュゼッペ・デ・サンティス監督の『南十字星の下』（Dagli Appennini alle Ande）、ピエトロ・ジェルミ監督の犯罪コメディ『刑事』（Un Maledetto imbroglio）、そしてディーノ・リージ監督の人間ドラマ『激しい季節』（Estate violenta）といった多彩な作品に出演しました。

1960年代に入ってもその活動は続き、1960年には『全艦船を撃沈せよ』（Sotto dieci bandiere）や『ダビデとゴライアス』（David e Golia）、『女の部屋』（La garçonnière）などに出演。1961年の歴史物『ビザンチン大襲撃』（Rosmunda e Alboino）、1962年の国際共同製作オムニバス『二十歳の恋』（L'amour à vingt ans）、1963年のコメディ『史上最笑の作戦』（Il giorno più corto）など、ジャンルを問わず幅広い役柄を演じました。

さらに、1964年にはコメディ『もしお許し願えれば女について話しましょう』（Se permettete parliamo di donne）や、タイトルからユニークな内容がうかがえる『私は宇宙人を見た』（Il disco volante）に出演。1965年にはドイツ製作の『アンクル・トム』（Onkel Toms Hütte）、1966年には壮大なスケールの『天地創造』（La Bibbia）に出演するなど、国際的な活動も積極的に行いました。

1970年の『ドリアン・グレイ/美しき肖像』（Dorian Gray）は、彼女のキャリア後期の出演作の一つです。エレオノラ・ロッシ＝ドラゴは、その多才さと存在感で、1950年代から60年代にかけてのイタリア映画黄金期を支えた女優の一人として、今なお記憶されています。

2007年12月2日、イタリア南部の都市パレルモにて、脳出血のため82歳でその生涯を閉じました。

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