エレミアサウルス

エレミアサウルスについて

エレミアサウルス（Eremiasaurus）は、白亜紀後期に生息していたモササウルス科に属する絶滅した海生トカゲの属です。この属はモササウルス亜科のモササウルス族に分類されており、化石はモロッコのウレド・アブドゥン盆地で発見されたマーストリヒチアン期のリン酸塩堆積物から出土しました。

属名は「砂漠のトカゲ」を意味しており、これは化石が発見された地域の乾燥した気候を反映しています。現在知られているのは、Eremiasaurus heterodontusという単一種のみです。種小名の heterodontus は、他のモササウルス科の種と比較して異歯性が高いことを示しています。

形態

エレミアサウルスは、2つの標本に基づいて研究されています。これらの標本はどちらもシンタイプ標本として認められており、そのうちのUALVP 51744は、ほぼ完全な頭骨、脊柱、そして四肢骨格の断片を含んでいます。もう一方のシンタイプ標本OCP DEK/GE 112もほぼ完全な頭骨に加え、脊柱もほぼ完全な状態で保存されています。

これらの標本の観察から、エレミアサウルスが独立した属として認められるための重要な特徴がいくつか明らかになりました。特に顕著なのは、高い異歯性と、モササウルス科の中でもプロトサウルスに次ぐ数の尾椎を持つことです。

分類

エレミアサウルスの分類に関する解析では、135個の形質と32の分類群がデータマトリックスとして用いられました。その結果、Eremiasaurus heterodontusは、現在ではモササウルス族のシノニムと見なされているプロトサウルス族の姉妹群であるとされました。モササウルス族との近縁性を示す証拠としては、外鼻孔の竜骨状の骨、鼻孔の境界から前前頭骨が排除されていること、前頭骨に鼻孔が存在すること、方形骨に溝があることなどが挙げられます。

しかし、エレミアサウルスは、近縁のモササウルスやプロトサウルスとは異なる独自の特徴も持っています。例えば、方形骨の上あぶみ骨突起と下あぶみ骨突起が癒合しており、あぶみ骨には丸みを帯びた非常に大きな窪みがあります。また、翼状骨の歯は大きく、上腕骨の関節丘はわずかにドーム状を呈しています。

系統関係

エレミアサウルスと近縁種の系統関係は、D.V.グリゴリエフ（2013）の研究に基づいた以下のクラドグラムで示されます。

（クラドグラムはテキスト形式では表現が難しいため、ここでは割愛します。詳細な系統関係については、原典をご参照ください。）

出典

上記の情報は、以下の学術文献に基づいています。
* [D.V. Grigoriev. 2013. "The osteology of Eremiasaurus heterodontus, a mosasaur (Squamata: Mosasauridae) from the Late Cretaceous of Morocco." Paleontological Journal 47(6):650-659.]

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