エレン・ターフィ・ツウィリッヒ

エレン・ターフィ・ツウィリッヒ（Ellen Taaffe Zwilich, 1939年4月30日 - ）は、アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ出身の作曲家です。彼女は、女性として初めてピューリッツァー賞を受賞したことで、その名を知られています。

初期の作品は無調性が顕著でしたが、1980年代後半には、ポストモダンかつ新ロマン主義的な独自のスタイルを確立しました。彼女は「作品が頻繁に演奏され、人気のある、存命のアメリカ人作曲家の一人」と評されています。

経歴

ツウィリッヒは、幼少期からヴァイオリンを学び、音楽家としての道を歩み始めました。1960年には、フロリダ州立大学から音楽学士号（B.M.）を取得。その後、レオポルド・ストコフスキーが指揮するアメリカ交響楽団で演奏するため、ニューヨークに移住しました。更なる研鑽を積むため、ジュリアード音楽院に入学し、1975年には女性として初めて作曲の博士号（D.M.A.）を取得しました。彼女の師事した教師には、ジョン・ボダ、エリオット・カーター、ロジャー・セッションズらが名を連ねています。1975年、ピエール・ブーレーズの企画により、ジュリアード交響楽団との「管弦楽のためのシンポジウム」に参加し、一躍脚光を浴びました。

この時期の彼女の作品の中には、夫でありヴァイオリニストであったジョゼフ・ツウィリッヒのために書かれたものがいくつか存在します。1979年に夫が他界した後、ツウィリッヒは作曲において「演奏者や聴衆とのより直接的なコミュニケーション」を重視するようになり、それまでの幾分無機質で硬質な作風から、より親しみやすく、感情豊かな作風へと変化しました。

彼女の『管弦楽のための3楽章（交響曲第1番）』は、1982年にアメリカ交響楽団によって初演され、1983年にはピューリッツァー賞を受賞しました。この受賞を機に、作曲の依頼が殺到し、経済的にも安定したことで、作曲活動に専念できる環境が確立されました。1995年から1999年にかけては、カーネギー・ホールのComposer's Chairの最初の占有者となり、その間、「Making Music」と題した定期演奏会を開催しました。この演奏会は、存命する作曲家による演奏と講演に焦点を当てたもので、現在も継続されています。

数々の受賞歴も誇り、エリザベス・スプラング・クーリッジ賞の室内楽曲部門、アルトゥーロ・トスカニーニ音楽批評家賞、エルンスト・フォン・ドホナーニ賞、アメリカ文学芸術アカデミーのアカデミー賞、ソロモン・R・グッゲンハイム基金フェローシップなどを受賞。さらに、グラミー賞には4度ノミネートされています。アメリカ文学芸術アカデミーとアメリカ芸術科学アカデミーにも選出され、1999年にはミュージカル・アメリカのコンポーザー・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。現在は、フロリダ州立大学の教授として教鞭を執る傍ら、BMI基金の諮問委員も務めています。これまでに5つの名誉博士号を授与されています。

音楽的特徴

ツウィリッヒの作曲スタイルは、最初のモチーフから大規模な構成、旋律と和声、そして発展的な進行に至るまで、完璧な作品を作り上げようとする強い意志によって特徴づけられます。『Symbolon』（1988年）、『交響曲第2番（チェロ交響曲）』（1985年）、『交響曲第3番』（1992年）などの大規模な管弦楽作品（いずれもニューヨーク・フィルハーモニックの委嘱）に加えて、協奏曲にも力を入れており、トロンボーン（1988年）、バストロンボーン（1989年）、フルート（1989年）、オーボエ（1990年）、バスーン（1992年）、ホルン（1993年）、トランペット（1994年）など、協奏曲としては比較的珍しい楽器のための作品も手掛けています。また、合唱曲や歌曲も作曲しています。

主要作品

コンチェルト・グロッソ
Celebration for Orchestra（1984年）
交響曲第4番『The Gardens』合唱、児童合唱と管弦楽のための（ミシガン州立大学の委嘱）
ピーナッツ・ギャラリー（1997年）
室内交響曲
ヴァイオリン協奏曲
ピアノ協奏曲
ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための二重協奏曲
ヴァイオリン、チェロ、ピアノと管弦楽のための三重協奏曲
5人の打楽器奏者とオーケストラのための『儀式』

外部リンク

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