エロール・スペンス・ジュニア

エロール・スペンス・ジュニア（Errol Spence Jr.、1990年1月13日 - ）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ロングアイランド出身のプロボクサーです。彼は元WBAスーパー・WBC・IBF世界ウェルター級統一王者であり、その卓越したボクシングスキルと強烈なパンチ力で知られています。また、自身のプロモーション会社「マン・ダウン・プロモーションズ」を主宰しており、ビジネス面でも活躍しています。

アマチュア時代

スペンスはアマチュアボクシングでも輝かしい実績を残しています。2008年のナショナル・ゴールデングローブスでは準々決勝で敗退しましたが、翌2009年には同大会で優勝を果たしました。さらに、同年には全米選手権でも優勝し、その実力を証明しました。国際大会にも積極的に参加し、2009年の世界ボクシング選手権大会や2011年のパンアメリカン競技大会に出場しましたが、上位進出はなりませんでした。2012年のロンドンオリンピックでは準々決勝で敗退し、メダル獲得は逃しましたが、アマチュアでの経験はプロでの活躍に大きく貢献しました。

プロ時代

2012年11月、スペンスはプロデビューを3回KO勝利で飾り、そのキャリアをスタートさせました。その後、着実に勝利を重ね、2015年には元IBO世界ウェルター級王者のクリス・ファン・ヘールデンに8回TKO勝ちを収めました。2016年4月には、元WBO世界スーパーライト級王者のクリス・アルギエリを5回TKOで下し、その強さをアピールしました。この勝利後、IBF世界ウェルター級王座への挑戦権をかけた決定戦に勝利し、王座挑戦への道を切り開きました。2017年5月には、ケル・ブルックとの王座戦で11回KO勝利を収め、見事IBF世界ウェルター級王座を獲得しました。

その後、スペンスはラモン・ピーターソン、カルロス・オカンポといった強豪を下し、王座防衛を重ねました。2019年3月には、ミゲル・アンヘル・ガルシアとの対戦に判定勝ちし、WBC世界ウェルター級ダイヤモンド王座も獲得しました。さらに、同年9月にはショーン・ポーターとの王座統一戦に勝利し、IBFとWBCの統一王者となりました。この試合では、スペンスの卓越したボクシング技術と戦略が際立ちました。

2019年10月、スペンスは飲酒運転による交通事故を起こし、一時的に集中治療室に入るほどの重傷を負いました。しかし、奇跡的に軽傷で済み、復帰への道を歩み始めました。2020年12月にはダニー・ガルシアとの防衛戦に勝利し、IBFとWBCの王座を維持しました。

2022年4月、ヨルデニス・ウガスとの3団体王座統一戦に勝利し、WBAスーパー王座も獲得しました。しかし、同年にはDWI（飲酒または薬物酩酊運転）で有罪判決を受け、刑務所収監と罰金を命じられました。また、同年末には交通事故に巻き込まれ、脚を負傷しました。

2023年7月、スペンスはテレンス・クロフォードとの4団体王座統一戦に挑みましたが、9回TKO負けを喫し、王座を失いました。この試合では、クロフォードの卓越したボクシング技術が際立ちました。この試合で両者は高額のファイトマネーを得たとされています。

2024年1月、スペンスは白内障の手術を受け、復帰に向けて調整を進めています。また、長年トレーナーを務めたデリック・ジェームズからトレーナー料の未払いに関する訴訟を起こされており、裁判での争いが続いています。ジェームズは、スペンスがプロ転向後、自身の報酬を一部しか支払っていないと主張しており、対してスペンスは口頭合意は全報酬ではなく保証されたファイトマネーに対する10％であると主張しています。

戦績

アマチュアボクシング：147戦 135勝 12敗
プロボクシング：29戦 28勝（22KO）1敗

獲得タイトル

WBA世界ウェルター級スーパー王座
WBC世界ウェルター級王座
IBF世界ウェルター級王座
WBC世界ウェルター級ダイヤモンド王座

スペンスは、その輝かしい戦績と数々のタイトル獲得により、ボクシング界で確固たる地位を築いています。今後の彼の活躍にも注目が集まります。

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