エロ神の怨霊

映画『エロ神の怨霊』の概要

『エロ神の怨霊』は、1930年7月27日に公開された日本映画で、松竹キネマが製作及び配給を手掛けました。この作品は、小津安二郎監督によって作られたもので、モノクロ映像とサイレント形式で提供される27分のコメディ映画です。タイトルからもわかる通り、エロティシズムやグロテスクな要素、そしてナンセンスが絡んだユニークな内容が特徴です。

小津監督の異色作

小津安二郎監督は、一般的に家族や日常生活を題材にした作品で知られていますが、『エロ神の怨霊』はそのスタイルとは異なり、エロ・グロ・ナンセンスの要素を扱ったコメディとなっています。この作品の製作の背景として、前作『その夜の妻』が松竹蒲田撮影所の所長、城戸四郎に評価されたことが挙げられます。その褒美として、「お盆にふさわしい映画を制作する」という条件で温泉への旅行を受け、その流れでこの作品の制作に至ったと言われています。

あらすじ

物語は、山路健太郎という男性を中心に展開します。彼は情婦でもあるダンサーの夢子と心中を図るため、海に身を投げますが、結果として生き延びてしまいます。山路が帰郷した後の日々は、夢子の怨霊に取り憑かれたかのような恐怖に満ちています。ある日、友人の石川から、実は夢子が生きており、ダンサーとして活動しているという話を聞くことになります。これを知った山路は、夢子に対して復讐を計画するのですが、彼の心の葛藤とともに、物語は進行します。

スタッフとキャスト

この映画の制作陣には、原案を石原清三郎が担当し、脚色は野田高梧が行いました。また、撮影は茂原英雄が手がけ、映像美にもこだわったことが伺えます。キャストには、山路健太郎役の斎藤達雄、友人の石川大九郎役を星ひかる、ダンサー夢子役には伊達里子、そして夢子の恋人として月田一郎が出演しています。これらのキャスティングは、物語に色彩を加える要素となっています。

現在の状況

興行は初回の帝国館で行われ、当時の観客の反応はどうだったのか興味深いところです。しかし、残念ながら、現在では脚本やネガ、プリントなどの資料が散逸してしまい、作品の詳細を知ることが難しくなっています。初期の日本映画の中でも特異な作品として、映画史に名を刻んでいる『エロ神の怨霊』。その内容や背景を知ることで、当時の風俗や価値観が伺えるかもしれません。興味がある方は、ぜひ関連する資料を探求してみてください。

もう一度検索