エンゲリス

エーンゲリスの概要

エーンゲリス（ロシア語: Э́нгельс）は、ロシア連邦のサラトフ州にある都市で、ヴォルガ川の東岸に位置しています。サラトフとは川を挟んで向かい合っており、両市は1965年に架けられた橋で接続されています。2023年の推計によると、エーンゲリスの人口は約23万5000人に上ります。地理的な方位は北緯51度29分00秒、東経46度07分00秒です。

沿革

エーンゲリスの歴史は1747年にさかのぼります。当初は「ポクロフスカヤ・スロボダ」と呼ばれ、ウクライナ人の入植者によって設立されました。エカチェリーナ2世の政策により、ドイツからの入植が促進され、多くのドイツ人がこの地に住み着き、ヴォルガ・ドイツ人文化の中心都市となります。1914年には都市の地位を得た後、「ポクロフスク」という名前に改名されました。この名称は、ドイツ人の間では「コザッケンシュタット」すなわち「コサックの町」とも呼ばれました。

1924年にはソビエト連邦成立に伴い、ヴォルガ・ドイツ人自治ソヴィエト社会主義共和国が設立され、その首都となることで影響力を増しました。1931年には現在の「エーンゲリス」という名前に改称され、この名は著名な思想家フリードリヒ・エンゲルスに由来しています。

しかし、1941年に独ソ戦が勃発すると、スターリン政権はヴォルガ・ドイツ人の強制移住を決定し、同年の秋にはドイツ人住民が完全に追放されました。その後、この町はサラトフ州に再統合され、ロシア人やウクライナ人、タタール人といったスラブ系民族が新たな住民として定住しました。1965年にスターリンの追放令が無効となったものの、ヴォルガ・ドイツ人の帰還はほとんど進まず、現在でもロシア人が主に住む町となっています。

経済と産業

エーンゲリスは、重化学工業の盛んなエリアとして知られています。大規模な工場群が立地し、地域経済の重要な役割を果たしています。また、ロシア空軍の戦略爆撃機部隊である第37航空軍の基地もこの町に位置しており、軍事的な役割も担っています。

人口の推移

エーンゲリスの人口は、歴史的に変遷を経て増加を続けています。1897年には約22,000人だった人口は、1970年には130,000人、2002年には193,984人に達しました。各年の統計は、都市の成長と共にその文化的・経済的発展を反映しています。これらのデータは、エーンゲリスの歴史的変化とともに、地域の多様な民族背景を示す重要な指標となっています。

結論

エーンゲリスは、ロシアの歴史に深く根ざした都市であり、豊かな文化と歴史を持っています。今後もその独自のアイデンティティを保ちながら、発展を続けることでしょう。

もう一度検索