エンジェル島収容所

エンジェル島収容所の歴史と役割

エンジェル島はアメリカ合衆国カリフォルニア州に位置し、その歴史は古く、約1万年前の最終氷河期の後、海面上昇によって陸地から切り離されて島となりました。島は約2000年前から、海岸ミーウォク系アメリカ先住民の生活の場となり、1775年にはスペイン海軍が訪れ、エンジェル島の入り江はその船の名にちなんで「アヤラ・コーブ」と名付けられました。

1863年、南北戦争の時期に入ると、エンジェル島は米軍の軍事拠点として利用され、戦争後も西部のアメリカ先住民との戦争に訓練された兵士の駐屯地となりました。その後、19世紀後半には、米陸軍がフォート・マクダウェルという陸軍基地を設立し、島全体が軍事的な重要拠点として機能しました。

移民の収容と中国人排斥法

エンジェル島は、1882年に制定された中国人排斥法に従って、主に中国や日本などアジアからの移民を検査するための施設としても使われました。1910年から1940年までの間、「西のエリス島」とも言われる移民局が設置され、約100万人以上の移民がここで尋問や拘留を受けました。特に、劣悪な環境での拘留が報告され、1940年にはその建物が火災に遭い、移民局は本土に移転することとなりました。

第二次世界大戦下の役割

第二次世界大戦中、エンジェル島は日本やドイツの捕虜の受け入れ場所としても利用されました。特に1941年の真珠湾攻撃以降、エンジェル島は約30万人の兵士が、太平洋戦線への出発地点として利用されました。火災で閉鎖された移民局の施設は、捕虜の収容や尋問が行われるなどの新たな役割を担いました。

ハワイや本土から日系人やドイツ系、イタリア系移民が拘留され、エンジェル島は「敵性外国人」と見なされた彼らの一時的な避難所として機能しました。ここでの拘留は短期間で、内陸の他の収容施設に移送される流れが一般的でした。

壁に刻まれた声

1970年代、収容施設が取り壊される前に、レンジャーが収容された人々が刻んだ壁の落書き（詩）を発見しました。これにより、エンジェル島の歴史的な価値が再認識され、保存運動が始まりました。多くの詩が壁に残されており、特に1890年から1940年の移民局時代や、捕虜収容期間中の日本人による書き込みが残っており、彼らの思いが記録されています。

トレイシー捕虜尋問所

エンジェル島から移送された捕虜は、「私書箱651」と呼ばれるトレイシーの捕虜尋問所で尋問を受けます。ここでは、米軍が極秘の捕虜尋問戦略を用いて、捕虜から情報を収集するために工夫を凝らしました。捕虜は、快適な環境でリラックスできるよう配慮され、これにより自然な会話を引き出すことが目指されました。

エンジェル島はアメリカの移民および軍事の歴史に多くの重要な側面を持っています。現在、エンジェル島はゴールデンゲート国立保養地に含まれ、多くの観光客が訪れる場所となり、過去の歴史を振り返る重要な教訓として多くの人々に知られています。

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