エンジュ

エンジュ（槐）について

エンジュ（学名: Styphnolobium japonicum）は、マメ科に属する落葉の高木であり、その起源は中国にあります。この木は、8世紀に日本に伝わったとされており、日本や台湾、韓国に広く植栽されています。「槐」という名前には、古い時代からの伝承が込められており、日本では「えにす」と呼ばれていたことが由来とされています。また別名として「ニガキ」という名前でも知られています。

特徴

エンジュは通常、5メートルから15メートルほどの高さに成長します。成木の樹皮は暗灰白色で、細かく裂けているのが特徴です。若木は濃緑色で、特に皮目が目立ちます。葉は奇数羽状複葉で、互生し、5〜10対の小葉を持ちます。小葉は卵形で長さは3〜5センチ[[メートル]]あり、表面は緑色、裏面は緑白色で軽い毛に覆われています。

花は7月から8月にかけて咲き、枝先に多くの白い蝶形花をつけ、重要な蜜源植物として知られています。このため、蜂などの昆虫が集まる様子が観察されます。果実は10月から11月に成熟し、豆状の莢は長さ5〜8センチ[[メートル]]です。この莢は裂けずに冬まで枝に残りますが、種子は主に鳥によって散布され、自然に繁殖します。冬芽は葉柄の基部に隠れ、濃褐色の毛に覆われています。また、枝垂れる変種としてシダレエンジュ（Styphnolobium japonicum var. pendulum）もあります。

利用と病虫害

エンジュは街路樹として非常に人気があり、また公園や庭木としても多く利用されています。特に、韓国の昌徳宮には大きなエンジュの木が存在し、その文化的価値も高いです。利用の面では、新芽はお茶の代わりや、蕾や種子は染料として活用されています。さらに、乾燥した蕾や莢果は止血薬として使用されてきました。

ただし、病虫害に関しては、カビによるさび病が幹に寄生すると、こぶができてしまうことがあります。このため、適切な管理が求められます。

薬用効果

エンジュには薬用としての側面も多岐にわたります。特に、乾燥させた花や蕾は「槐花（かいか）」と呼ばれ、止血作用があることで知られています。また、莢を乾燥させたものは「槐角（かいかく）」と称され、高血圧の治療などに用いられます。これらは、主に6月から9月にかけて採取され、天日で乾燥されます。「槐花」にはルチンが多く含まれており、サプリメントとしても利用されています。

文化的背景

エンジュの花言葉には「上品」や「慕情」といった意味が込められており、中国ではこの木が古くから高貴さを象徴する存在でした。日本でも、源実朝の「金槐和歌集」などに見られるように、その名が文学に親しまれています。エンジュはただの樹木ではなく、文化や自然との深い関わりを持った貴重な存在であると言えるでしょう。

結論

エンジュは、その美しい姿や多様な利用法から、日本をはじめ中国や韓国で非常に重要な植物となっています。この木は人々の日常に深く根付いており、文化や伝統とも密接に関係しています。公園や街路で見かけるエンジュの木は、私たちに自然の素晴らしさを教えてくれる存在です。

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