エンタープライズ (CVN-65)

USSエンタープライズ (CVN-65)

USSエンタープライズ（CVN-65）は、アメリカ海軍の誇るエンタープライズ級航空母艦であり、世界初の原子力空母として知られています。この艦は、アメリカ海軍の艦艇の中で最も長い就役年数を誇り、ノーフォーク海軍基地を母港として、半世紀にわたり海軍の象徴的存在でした。エンタープライズは、艦としては8隻目の名を冠し、かつての先代エンタープライズ（CV-6）と同様、その愛称は「ビッグE」として親しまれています。

来歴

超大型空母の誕生

第二次世界大戦後、冷戦の影響によりアメリカ海軍は核戦争時代に対応するための戦力を強化しようとし、核兵器を能力に持った大型艦上攻撃機を搭載できる超大型空母の必要性が浮上しました。1948年度計画では「ユナイテッド・ステーツ」という艦が計画されましたが、予算の制約や反対意見によりボツになりました。しかし、朝鮮戦争を経て空母の重要性が再確認され、1952年度計画からフォレスタル級の建造が始まりました。

原子力推進の検討

1952年度計画での艦船原子力化も懸案となっていましたが、この計画は進展せず、1953年には原子力空母の開発が一時中止されました。ただし、海軍内部では原子力空母に関する議論は続き、1954年には艦艇用原子炉の開発が再び始まり、その結果として「エンタープライズ」という艦の設計がスタートしました。

設計

エンタープライズは、その設計において非常に特異な形状を持つ艦橋が特徴でした。原子力推進エンジンとしては、A2W原子炉を8基搭載し、これは主にウェスティングハウス社の加圧水型原子炉です。エンタープライズは、当初とは異なるデザインを持ちながらも、運用の効率化が図られ、キティホーク級を基にした機体となりました。

航空運用機能

エンタープライズは航空母艦としても優れた機能を持っており、全通飛行甲板や多様な発着艦設備が整っていました。艦の発着艦設備は非常に高度なもので、カタパルトやアレスティング・ギアが設置されています。これにより、多数の戦闘機や攻撃機を迅速に運用することが可能でした。

艦歴と任務

エンタープライズは1961年に就役し、その後は様々な任務に従事しました。特に1962年のキューバ危機では、本艦が重要な役割を果たしました。艦は海上封鎖任務に加わり、潜在的な武力攻撃に対する抑止力となりました。また、その後もベトナム戦争や冷戦など、多くの歴史的出来事に関与しました。

1970年代に入ると、エンタープライズはフル装備のまま数回のオーバーホールを実施し、現代の戦争における実績を重ねていきました。

退役とその後

エンタープライズは2012年12月に正式に退役し、艦歴を通じてその存在は多くの人々に記憶されています。海軍内部においても、この艦の名前は重要な意味を持ち、次世代の艦船に名を受け継がれる予定です。35年以上にわたったその歴史は、今後も様々な形で語り継がれることでしょう。

エンタープライズは、映画『スタートレック』や『トップガン』にも登場するなど、文化にも影響を与えました。

全体として、USSエンタープライズは単なる軍艦ではなく、アメリカ海軍の進化を象徴する存在であり、艦としての機能性と文化的影響力を合わせ持つ特異な存在として、今後も多くの人々に記憶され続けることでしょう。

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