エンデミック

エンデミック：地域に定着した感染症

エンデミックとは、特定の地域において、ある感染症が一定の罹患率で、日常的に、あるいは特定の季節に繰り返し発生する状態を指します。ギリシャ語で「特定の人々に関する」という意味を持つ言葉に由来し、風土病とも呼ばれています。

エンデミックは、感染症の流行を示す段階の一つとして理解されます。感染症の広がりは、一般的に「エンデミック」「エピデミック」「パンデミック」の3段階に分類されます。エンデミックは、エピデミックよりも狭い範囲で、比較的緩やかに広がるのが特徴です。予測可能な範囲内で推移し、社会に大きな混乱をもたらすことはありません。

エンデミックラインと感染症の持続

日常的に見られる感染症の発生数は、エンデミックライン、もしくはベースラインとして用いられます。これは、望ましいレベルというよりは、現実的な発生レベルを示す指標です。感受性のある集団が枯渇するほど広がらない限り、その感染症は介入がなければ無期限に発生し続けます。これがエンデミックに至る過程です。

例えば、2020年から2021年にかけて世界的な大流行（パンデミック）を引き起こした新型コロナウイルス感染症は、2022年以降はエンデミックに移行したとされています。また、季節性インフルエンザも、現在ではエンデミックの状態にあるとみなされています。

ハイパーエンデミック：高レベルの感染症発生

エンデミックの中でも、特定の地域または集団で、持続的に高いレベルの感染症が発生している状態を「ハイパーエンデミック」といいます。通常のエンデミックよりも、感染者数や罹患率が顕著に高いことが特徴です。

エンデミックの事例

様々な感染症がエンデミックの状態にあります。以下にいくつかの例を示します。

水痘: 世界的に広くみられるエンデミック疾患です。特に、イギリスでは長年にわたりエンデミックが続いています。
マラリア: アフリカの一部地域、アジア、ラテンアメリカ、中東など、熱帯および亜熱帯地域で広く発生しています。地域によってはハイパーエンデミックの状態にある地域もあります。
シャーガス病: ラテンアメリカで主にみられる寄生虫感染症です。
アフリカ睡眠病: サブサハラアフリカで発生する、寄生虫による感染症です。

これらの例からもわかるように、エンデミックは地域や感染症の種類によって、その発生状況や規模が大きく異なります。

まとめ

エンデミックは、特定地域で継続的に発生する感染症の状態であり、風土病とも呼ばれます。その発生レベルは、社会への影響を考慮しながら、適切な対策を講じることで管理されています。ハイパーエンデミックは、エンデミックの中でも特に感染者数や罹患率が高い状態を指します。 様々な感染症がエンデミックとして存在しており、それぞれの地域や感染症の特徴を理解することが、適切な対策を講じるために重要です。

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