シャーガス病

シャーガス病について

概要

シャーガス病（シャーガスびょう）は、原虫であるTrypanosoma cruzi（トリパノソーマ・クルージ）によって引き起こされる感染症です。この病気は人獣共通感染症に分類され、時には「アメリカトリパノソーマ病」や「刺し亀病」とも呼ばれています。主に中南米で発生が見られますが、感染者が他国に持ち込むケースもあるため、注意が必要です。

病原体

Trypanosoma cruziは、ユーグレノゾアキネトプラスト類に属する鞭毛虫で、哺乳類、特に人間を含む多くの動物に感染します。この原虫は、感染した吸血性の昆虫、特にオオサシガメ亜科のサシガメを媒介としています。サシガメが感染者の血を吸い、その糞の中に含まれるトリパノソーマ・クルージが傷口から体内に侵入することで感染が広がります。

疫学

シャーガス病は主に中南米の田舎地域で見られ、その環境ではサシガメが多く生息しています。特に家屋の土壁に住みつくことが多く、住人が刺されることで感染のリスクが高まります。潜伏期間は長く、感染したことに気づかないまま数年が経過することもあります。最近では、日本でも陽性者が発見され、献血をきっかけに調査が行われましたが、輸血による感染の報告はありませんでした。

感染者の特徴

中南米諸国に住んでいたり、出身者であったりする人々は無症候性キャリアの可能性があるため、献血時の申告が推奨されています。この申告により、献血された血液は特定の使用法に限定されることになります。

症状

ヒト

感染した場合、最初はリンパ節、肝臓、脾臓が腫れることが特徴です。また、筋肉痛や心筋炎、心肥大など心臓に影響を及ぼす症状も見られます。場合によっては脳脊髄炎が発生することもあります。特殊な症状としてはロマーニャ徴候やジャゴーマが挙げられます。

イヌ

人間と同様の症状が見られることがあります。

診断

診断には原虫の検出が用いられます。特に急性期での血液検査では原虫を見つけるのが困難なため、無感染のサシガメを用いて血を吸わせ、体内で増殖した原虫を検査する方法が取られます。また、血清学的手法として間接血球凝集反応や酵素抗体法なども取り入れられています。

治療

治療法には、ニフルチモックスやベンズニダゾールが用いられますが、これらはトリパノソーマ・クルージを殺傷する効果があっても、感染した臓器の機能回復には効果がありません。

予防

シャーガス病の予防には、サシガメの駆除が重要です。刺咬によって感染するため、サシガメからの刺されないような対策も必要です。果物に付着することが稀にあるため、発展途上地域では生ジュースを避けることが推奨されます。また、母子感染や輸血による感染も考慮し、献血血液の検査が必須です。

まとめ

シャーガス病は感染症としての健康リスクが高く、感染が進行しないよう早期の診断や適切な予防策が求められます。

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