エンブラエル

エンブラエル（Embraer） - ブラジルの航空機製造企業

エンブラエル（Empresa Brasileira de Aeronáutica S.A.）は、ブラジルに本社を置く大手航空機メーカーであり、現在では世界第3位の旅客機製造企業としてその名を知られています。ブラジル最大の輸出企業の一つでもあり、その製品は世界中の航空会社に広く採用されています。

歴史の始まり

エンブラエルは1969年に国営企業として設立され、当初はブラジル空軍のニーズに応える形で始まりました。1972年には双発プロペラ旅客機「EMB 110 バンデランテス」が初飛行し、多くの航空会社で運航されることになりました。この機体は、ブラジルの航空技術の象徴として広く愛され、「ブラジルの誇り」とも称されました。

その後も、1976年には「EMB 121 シング」、1983年には「EMB 120 ブラジリア」や「EMB-312 ツカノ」を発表し、成功を収めました。特にEMB-312 ツカノは、イギリス空軍を含む多くの国で採用され、現在も練習機として使用されています。しかし、公的な企業体質ゆえに、長い間赤字経営が続きました。

経営悪化と民営化

1990年代には競争の激化に伴い、エンブラエルは厳しい経営環境に直面しました。開発が進められた「CBA123」は、費用対効果の面から中止を余儀なくされ、政府の支援も打ち切られました。さらには湾岸戦争の影響で航空市場が冷え込み、従業員の大規模な解雇も行われました。

このような状況を打破するため、政府はエンブラエルの民営化を決定しました。1994年には、金融コングロマリットと年金運用会社が共同で資本を出資し、エンブラエルを買収。体質改善とともに新型機の開発が進められ、特に「ERJ145」と「ERJ135」が販売され、短期間で黒字を回復しました。

世界の舞台における成長

1999年にはフランスのダッソー航空機製造グループとの提携を通じて技術交流を図り、その後「ERJ170」「ERJ190」など新型機の開発を進めました。これにより、エンブラエルは短距離の地域航空市場において急成長を遂げ、ついに2013年にはボンバルディアを抜いて世界第3位の航空機メーカーとなりました。

この間、ビジネスジェット市場にも進出し、エンブラエルは国防分野でも存在感を示しました。ブラジル空軍でも多くの機体が利用されており、国際的にも20カ国以上に採用されています。

最新の挑戦

近年では、2020年に新たな子会社として電動垂直離着陸機（eVTOL）の開発を開始し、未来の空の移動手段を模索しています。この取り組みは、2026年の商用化を目指して進められており、新たな市場での競争力を強化しようとしています。

代表的な機体

エンブラエルは、多様な機体を製造しています。主な商業用機としては、

• - EMB 110 Bandeirantes
• - EMB 120 Brasilia
• - ERJ-145 などがあり、軍用機やビジネスジェットでも知られています。

さらに、世界中の多くの航空会社や政府機関に採用されており、その信頼性と実績から今後も注目され続けるでしょう。エンブラエルの歴史と未来は、航空機産業の持続的な発展に寄与する重要な一端を担っています。

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