エンブラエル E-Jet

エンブラエル E-Jet シリーズ

エンブラエル E-Jet (Embraer E-Jet) は、ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル社が製造・販売している小型ジェット旅客機のシリーズ名です。このシリーズは、リージョナルジェット市場において重要な役割を果たしており、多様な路線で活躍しています。

モデル構成

E-Jetシリーズは、標準座席数の少ない順に以下の4つのモデルで構成されています。

エンブラエル170 (E170): 78席
エンブラエル175 (E175): 86席
エンブラエル190 (E190): 104席
エンブラエル195 (E195): 110席

これらのモデルは、それぞれE170、E175、E190、E195と略記されることもあります。開発当初はERJ（Embraer Regional Jet）という名称が用いられていましたが、現在はE-Jetシリーズとして知られています。

開発の経緯

エンブラエル社は、50席クラスのERJ 145の成功を受けて、より大型のジェット旅客機の開発に着手しました。1999年2月に最初のモデルであるE170の開発計画を発表し、2001年10月29日に初号機がロールアウトされました。その後、E175、E190、E195と順次開発が進められ、各モデルが型式証明を取得し、顧客への引き渡しが開始されました。

E170: 2002年2月19日初飛行、2004年型式証明取得
E175: 2003年6月初飛行、2005年型式証明取得
E190: 2004年3月12日初飛行、2005年型式証明取得
E195: 2004年12月7日初飛行、2006年型式証明取得

設計の特徴

E-Jetシリーズは、以下の特徴を備えています。

ダブルバブル構造: 胴体断面が二つの円を重ねたような形状で、機内空間の頭上空間を広く確保しています。
グラスコックピット: 縦長の液晶ディスプレイを備えた先進的なコックピットで、フライ・バイ・ワイヤシステムを採用しています。
M字型操縦桿: エンブラエル伝統のM字型操縦桿を採用しています。
快適な客室: 2＋2席の配置で、足元が広く、大型の手荷物収納スペースが設けられています。また、ボーディングブリッジの使用が可能で、客室床下を貨物スペースとして活用しています。
ウィングレット: 主翼にウィングレットを装備し、燃費効率を向上させています。
シェブロンノズル: エンジン排気ノズルにシェブロンノズルを採用し、低騒音化を実現しています。

E170とE175、E190とE195は、それぞれ95%の共通性を持ち、アビオニクスやハネウェル社のプリムス・エピックEFISなど、89%近くの部品が共通化されています。

シリーズ構成

E-Jetシリーズは、主に以下の2つの系列に分類されます。

E170/175シリーズ: 小型モデルで、ボンバルディアCRJシリーズやターボプロップ機と競合しています。日本の航空会社では、ジェイエアやフジドリームエアラインズが導入しています。
E190/195シリーズ: 胴体を延長した大型モデルで、ボンバルディアCRJ-1000や、ボーイング737、エアバスA318などの小型幹線旅客機と競合しています。ジェイエアがE190を導入しています。

エンブラエル Lineage 1000

E190をベースとしたビジネスジェットモデルで、航続距離が延長され、最大19席の豪華な座席を備えています。アルゼンチン空軍が大統領専用機として導入しています。

E-Jet E2

次世代E-Jetとして開発されたシリーズで、エンジンをプラット・アンド・ホイットニー社製のGTFエンジンに換装し、燃費向上や騒音低減を図っています。E175-E2、E190-E2、E195-E2の3タイプがあります。

E175-E2: 80席クラスの最小モデル。開発が一時停止されています。
E190-E2: E190をベースとするモデルで、航続距離が延長されています。2018年に初号機が納入されました。
E195-E2: E195を延長したモデルで、客室座席数が増加しています。

日本国内での動き

日本の航空会社では、ジェイエアがE170とE190を、フジドリームエアラインズがE170とE175を導入しています。川崎重工業もE-Jetシリーズの開発段階から参画し、中央翼や主翼などの部品を製造しています。

その他の情報

E195は、日本の航空法における客室乗務員の配置基準により、国内での採用が見送られています。

E-Jetシリーズは、その多様なモデル構成と優れた性能により、世界中の航空会社で広く採用されており、リージョナルジェット市場における重要なプレイヤーとなっています。

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