エンリル・ニラリ

エンリル・ニラリ：アッシリア王、その生涯と時代

エンリル・ニラリ（在位：紀元前1330年-紀元前1319年または紀元前1317年-紀元前1308年）は、中アッシリア時代にアッシリアを統治した王です。「エンリル神は我を助ける」という意味の名前を持ち、アッシュール・ウバリト1世の息子として生まれました。彼はリンム（紀年官）職を保持していたことが確認できる最初の王でもあります。

治世における主な出来事

エンリル・ニラリは、首都アッシュールの都市改造に尽力しました。彼は市壁の老朽化した部分を修復し、その記録を粘土釘に刻みました。彼は後世の人々が自身の碑文を保存してくれることを願い、祈りを捧げました。

バビロニアとの関係

彼の治世において、バビロニアとの関係は重要な要素でした。エンリル・ニラリの姉妹であるMuballiṭat-Šērūaは、バビロニアのカッシート王であるブルナ・ブリアシュ2世に嫁ぎました。彼女の息子であるカラ・ハルダシュとクリガルズ2世は、後にバビロンの王位を継承しました。カラ・ハルダシュの治世は反乱によって短期間で終わりましたが、アッシュール・ウバリト1世率いるアッシリア軍が介入し、クリガルズ2世を王位に就けました。

クリガルズ2世との緊密な関係にもかかわらず、エンリル・ニラリは後にバビロニアとの境界線を巡って対立しました。クリガルズ2世はカッシート朝の中でも好戦的な王として知られており、両国はスガクの戦いで衝突しました。年代記によれば、この戦いでアッシリアはスバルトゥの地を分割したとされています。また、別の記録では、キリズィという場所で2度目の戦いがあったことが示唆されています。

王族の死に関する指示

エンリル・ニラリは、王族が死亡した場合の具体的な指示を残しました。王が王宮から遠く離れていない場合は、封印された連絡文を送る必要がありましたが、遠方にいた場合は、宮殿の妻が定められた通りに嘆き悲しむこととされ、連絡文は不要とされました。この情報を許可なく広めた者には、身体の一部を切断するという厳しい警告も発せられました。

エンリル・ニラリの治世は、アッシリアが周辺地域との関係を築きながら、国内の安定と発展を目指した時代であったと言えるでしょう。

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